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エムポックスはウイルスによって起きる感染症です。「サル痘」から病気の名前が変わりました。自然界では主にリスやネズミなどがウイルスを持っていると考えられています。もともと西アフリカから中央アフリカで流行していた感染症ですが、2022年5月以降、北アメリカやヨーロッパを中心に、世界中で感染者が増加しました。
この世界的な流行が報告されてから、日本では2022年7月25日に最初の症例が報告されましたが、世界的な傾向とは異なり、2022年のうちは数例がバラバラに報告されるだけでした。しかし2023年になって首都圏を中心に新たな感染者が急増しています(最新の感染者数はこちらをご覧ください。厚労省HP)。最近の症例のほとんどは国内での感染と考えられています。
今回の流行では、性器や肛門周囲に傷(潰瘍、びらん)や「できもの」が見られることが多いようです。痛みの強い傷が典型的ですが、あまり痛みが強くない症例もあります。今回の世界的流行の前までは発熱、筋肉痛、関節痛、リンパ節の腫れなどの症状があると言われていましたが、現在の流行では、皮膚の傷や「できもの」以外の症状はそこまで多くないようです。
感染した動物や人との直接的な接触によって感染します。特に皮膚のジュクジュクした傷から出てくる液体には多くのウイルスが含まれており、それに触れることで感染が広がります。また、飛沫や体液、血液などにもウイルスが含まれており、同居している家族内で感染が広がることがあります。2022年5月以降の世界的な流行では性的な接触により感染が広がったといわれています。
もともとは死亡率1%程度と言われていましたが、2022年以降の世界的な流行における死亡率は0.16%程度です。死亡した人のほとんどは未治療のHIVなど、免疫機能が低下した状態でした。
皮膚の傷や「できもの」を綿棒でぬぐい、ウイルスのPCR検査をすることで診断が確定します。皮膚の症状がない場合でも、のどや直腸をぬぐった綿棒や、血液などからでも診断できることがあります。ただし、病院の検査室ではPCR検査ができないため、病院から保健所等を介して専門機関に検査を依頼する必要があります。
発熱や筋肉痛、皮膚のできものの痛みなどに対して、症状を和らげるための薬(対症療法)が使用されます。感染した人の体に備わっている免疫の働きにより、自然に症状は改善していきます。日本国内で一般的に利用可能な抗ウイルス薬はありませんが、海外では抗ウイルス薬が承認されており、日本でもいくつかの病院で抗ウイルス薬の臨床研究が実施されています。
感染した人との接触を避けることが重要です。2022年以降の流行は性的な接触により感染する事例が多いようですが、感染している人の全員に症状が出るわけではないため、感染した人もいつどこで誰から感染したのかわからない場合もあります。具体的な予防方法について詳しく知りたい方はこちら(HIVマップ mpox)をご覧ください。
また、天然痘(痘そう)ワクチンがエムポックスの予防にも有効と言われておりますが、日本では一般に流通しておらず、患者の接触者など条件を満たす方を対象に臨床研究の一環で使用するものとされています。
感染症法の4類感染症に指定されています。
正確な診断を受けるために、医療機関を受診しましょう。特に性器や肛門周囲に傷やできものがある場合、エムポックス以外にもさまざまな病気の可能性があります。
なお、エムポックスに関しての相談は最寄りの保健所に御連絡ください。
診断がはっきりするまでは、感染を広げないように以下の点に注意してください。そのほかの対策については、こちら(DCC資料 )の各種資料も参考にしてください。
・皮膚のできものはガーゼや衣類などで覆いましょう。
・他の人との寝具やタオル、食器の共有は避けましょう。
・手を清潔に保ちましょう。アルコール製手指消毒剤も有効です。
特に自分の皮膚の傷やできものを触った時には、家具や自分の体の他の部位を触る前に必ず手を洗うようにしてください。
・外出時にはマスクを着用しましょう。
・免疫不全の人や妊婦、こどもとの接触は控えてください。
・他の人の肌や顔との接触や、性的な接触は避けてください。
・移動はできるだけ公共交通機関を使用せず、自家用車などを使用してください。
上記のほか詳細な情報は、次のページをご覧ください。
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