ここから本文です。
RSウイルス感染症とは、RSウイルスによって引き起こされる呼吸器感染症です。RSウイルスは世界中で広く流行しており、一生のうちに何度も感染します。日本では感染者が一年中報告されていますが、特に夏から秋にかけて流行していました。2021年以降は春(初夏)から夏にかけて流行のピークを迎えることが増えています。
感染している人の咳やくしゃみ、会話のときに出る飛沫に含まれるウイルスを吸い込んだり(飛沫感染)、ウイルスが付着している物(ドアノブ、手すり、スイッチ、机、いす、おもちゃ、コップなど)を直接舐めたり、それらを触った手指で目や鼻、口に触れたりする(接触感染)ことで感染が広がります。
発熱、鼻水、咳などの症状が数日続きますが、多くの場合は自然によくなります。しかし、ときに息が苦しくなる(呼吸困難)などの症状を起こして重症化することがあります。特に生後6カ月未満の乳児や、早産児、さまざまな基礎疾患をもつ子は重症化しやすいことがわかっています。
また、60歳以上の人や、基礎疾患(慢性心不全、COPD、糖尿病など)がある人がRSウイルスに感染すると重症化しやすいことがわかっています。さらにRSウイルス感染症がきっかけとなって細菌による肺炎が起きることもあります。
RSウイルスに直接的に作用する抗ウイルス薬はありません。RSウイルス感染症を発症した場合は、症状を和らげる薬などを使用しながら自然に良くなるまで安静にすることが望ましいです。RSウイルス感染症を予防する方法として、こどもに使用できる抗体製剤と、妊婦や高齢者に接種できるワクチンがあります。
[抗体製剤]
・パリビズマブ(商品名:シナジス)
早産児や基礎疾患のあるリスクの高い子に使用できます。
・ニルセビマブ(商品名:ベイフォータス)
早産児や基礎疾患のあるリスクの高い子の他に、特別なリスクのない新生児や乳児も使用できます。ただし、リスクの高い子に使用する場合は健康保険が適用されますが、それ以外の子に使用する場合は健康保険の適用外(自費診療)です。
[ワクチン(組換えRSウイルスワクチン)]
・商品名:アレックスビー
60歳以上の方が接種できます。
・商品名:アブリスボ
妊娠28~36週の妊婦と、60歳以上の方が接種できます。
妊娠中のこの時期に妊婦が接種を受けると、おなかの子に抗体が移行し、その子が産まれてから6か月までの間、RSウイルス感染症に対する予防効果を期待できます。
感染症法では5類感染症(定点把握疾患)に指定されています。毎週、特定の医療機関から患者数が報告され、集計されています。
・国立感染症研究所
IDWR 2024年第15号<注目すべき感染症> RSウイルス感染症
・厚生労働省
RSウイルス感染症Q&A(令和6年5月31日改訂)
このページに関するお問い合わせ先
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください