ページID:90838更新日:2019年7月23日

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遺跡トピックスNo.0498岡・銚子塚古墳~県内屈指の前方後円墳~

 

笛吹市の遺跡

0014経塚古墳-復元古墳-2005年8月17日~2005年8月24日

0217経塚古墳-内部構造-2009年12月2日~2009年12月9日

0251経塚古墳-石室の石積み-2010年8月18日~2010年8月24日

0280経塚古墳-列石-2011年3月9日~2011年3月16日

0396経塚古墳-八角形の意味-2014年6月25日~2014年7月11日

0019桂野遺跡-石皿・磨石-2005年9月21日~2005年9月28日

0100桂野遺跡-陥し穴-2007年6月21日~2007年6月26日

0111桂野遺跡-前期土偶-2007年9月12日~2007年9月18日

0262桂野遺跡-縄文時代前期の住居跡-2010年11月4日~2010年11月10日

0265桂野遺跡-土器に描かれた物語-2010年11月24日~2010年12月1日

0020四ツ塚古墳群-玉類-2005年9月28日~2005年10月5日

0235四ツ塚古墳群-装身具-2010年4月28日~2010年5月6日

0022狐原遺跡-墨書土器-2005年10月12日~2005年10月19日

0433狐原遺跡-平瓶-2016年2月5日~2016年2月16日

0059平林2号墳-副葬品-2006年8月3日~2006年8月9日

0079平林2号墳-青銅鏡-2007年1月16日~2007年1月24日

0102平林2号墳-ガラス玉-2007年7月4日~2007年7月10日

0202平林2号墳-馬具類や装身具類-2009年8月19日~2009年8月25日

0240平林2号墳-勾玉-2010年6月2日~2010年6月8日

0337平林2号墳-勾玉-2012年5月9日~2012年5月15日

0495山梨県初!?平林2号墳の金銅製冠飾-2019年5月28日~2019年6月10日

0081身洗沢遺跡-田んぼと木製品-2007年1月31日~2007年2月7日

0230身洗沢遺跡-プラント・オパール-2010年3月24日~2010年3月31日

0339身洗沢遺跡-農具の今と昔-2012年5月23日~2012年5月29日

0417身洗沢遺跡-2015年5月29日

0427身洗沢遺跡-2015年10月14日~2015年10月27日

0432身洗沢遺跡-弥生時代後期の木製品(クワ)2015年1月21日~2015年2月3日

0460身洗沢遺跡-弥生時代の桃の種-2017年4月27日~2017年5月10日

0125水口遺跡-柄鏡形敷石住居跡(1号住居跡)-2008年1月16日~2008年1月23日

0355水口遺跡-敷石住居跡(3号住居跡)-2012年9月19日~2012年9月27日

0135花鳥山遺跡-エゴマ種子塊-2008年3月26日~2008年4月9日

0194花鳥山遺跡-縄文時代の食生活を知る遺物-2009年6月24日~2009年7月1日

0199花鳥山遺跡-世界最大級の縄文土器?-2009年7月29日~2009年8月4日

0406花鳥山遺跡-耳飾り-2014年11月26日~2014年12月09日

0466花鳥山遺跡-縄文時代のエゴマ-2017年7月5日~2017年7月19日

0145竜安寺川西遺跡-発掘調査速報-2008年6月19日~2008年6月25日

0155竜安寺川西遺跡-発掘調査速報2-2008年8月27日~2008年9月2日

0165竜安寺川西遺跡-発掘調査速報3-2008年11月5日~2008年11月11日

0179竜安寺川西遺跡-ミニチュア土器-2009年3月4日~2009年3月11日

0147境川中丸遺跡-発掘調査速報-2008年7月2日~2008年7月8日

0157境川中丸遺跡-発掘調査速報-2008年9月10日~2008年9月18日

0181境川中丸遺跡-S字状口縁台付甕-2009年3月18日~2009年3月24日

0148一の沢遺跡-縄文時代中期の住居-2008年7月9日~2008年7月15日

0293一の沢西遺跡-ヒトをモチーフにした土器-2011年6月29日~2011年7月5日

0307一の沢遺跡-縄文土器-2011年10月05日~2011年10月12日

0350一の沢遺跡-みんなで応援しよう!「ミュージアムキャラクターアワード2012」のいっちゃん-2012年8月15日~2012年8月21日

0451一の沢遺跡の土偶いっちゃん2_2016年10月31日~2016年11月9日

0494一の沢遺跡の人体文土器~人をモチーフにした土器2-2019年5月13日~2019年5月27日

0150稲山遺跡-発掘調査速報-2008年7月23日~2008年7月29日

0160稲山遺跡-発掘調査速報2-2008年10月1日~2008年10月7日

0170稲山遺跡-発掘調査速報3-2008年12月10日~2008年12月16日

0209稲山遺跡-常滑甕-2009年10月7日~2009年10月13日

0229稲山遺跡-すり鉢-2010年3月17日~2010年3月23日

0288稲山遺跡-かわらけ-2011年5月25日~2011年6月1日

0151三光遺跡-発掘調査速報-2008年7月30日~2008年8月5日

0166三光遺跡-発掘調査速報5-2008年11月12日~2008年11月19日

0171三光遺跡-発掘調査速報6-2008年12月17日~2008年12月23日

0186三光遺跡-耳飾り他-2009年4月30日~2009年5月6日

0173二之宮遺跡-食材をふかす道具-2009年1月14日~2009年1月27日

0284二之宮遺跡-置きカマド-2011年4月20日~2011年4月27日

0219亀甲塚古墳-盤龍鏡-2009年12月16日~2009年12月24日

0264亀甲塚古墳-碧玉製管玉-2010年11月17日~2010年11月23日

0234御坂中丸遺跡-縄文時代早期-2010年3月24日~2010年4月27日

0275馬乗山2号墳-甲府盆地最後の前方後円墳-2011年2月2日~2011年2月9日

0331地耕免遺跡-斎串と馬の歯-2012年3月21日~2012年4月2日

0354中丸東遺跡-縄文時代前期の土器と古墳時代の住居跡-2012年9月12日~2012年9月19日

0356石橋条里制遺構-古代の土地区画整理-2012年9月27日~2012年10月10日

0371太鼓畑遺跡-調査概要-2013年5月1日~2013年5月16日

0382六ッ長遺跡-調査概要-2013年10月9日~2013年10月23日

 

岡・銚子塚古墳は笛吹市八代町岡地内に所在する、県内屈指の規模を有する前方後円墳です。甲斐の古代史を解明する上で欠くことのできない貴重な存在と位置付けられ、1988(昭和63)年に「岡・銚子塚古墳」として、山梨県指定の史跡となりました。甲府市下曽根町の甲斐銚子塚古墳と区別するため、「岡」が付けられます。

後円部から見た古墳

後円部から見た古墳

 

所在地:笛吹市八代町岡

時代:古墳時代

報告書:八代町埋蔵文化財調査報告書第9集

『山梨県指定史跡岡・銚子塚古墳-保存整備報告書-』1995.3

調査機関:八代町教育委員会

丘陵側から見た古墳

丘陵側から見た古墳

盆地側から見た古墳

盆地側から見た古墳

古墳の概要

本県の前方後円墳は、全部で12基といわれています。12基のうち11基が甲府盆地の南東側にあり、南北ほぼ10kmの範囲内に存在しています(11基の内1基は工事により失われました)。かつては甲府盆地の沖積地にも少数の前方後円墳があったともいわれていますが、本県の前方後円墳は現状では極めて狭い地域に集中しています。

岡・銚子塚古墳は標高およそ422mにあり、甲府盆地をおおむね180°の視野で一望できる絶好の場所に立地しています。古墳の規模は、全長92m、後円部径48m、前方部幅41mです。本古墳については宝暦年間に発掘された記録があり、鼉龍鏡(だりゅうきょう)・仿製二神二獣鏡(ぼうせいにしんにじゅうきょう)の2面が拓本として伝わるなど、古くから知られていました。

古墳の実態については長く不明な点が多かったのですが、平成3年(1991)から同5年(1993)に調査が行われました。発掘調査では、古墳の墳端の位置、周溝の範囲や形態、主体部の位置や構造、葺石に覆われた墳丘面などが確認されました。

主体部と墳頂から見た盆地

主体部と墳頂から見た盆地

岡・銚子塚古墳と甲斐銚子塚古墳の比較

岡・銚子塚古墳は今から約1600年以上前の4世紀後葉に築造されました。甲府盆地において、4世紀後葉の前後に築造された古墳には、甲府市の大丸山古墳、甲斐銚子塚古墳、丸山塚古墳、南アルプス市の物見塚古墳があります。これらの古墳の中で、岡・銚子塚古墳と甲斐銚子塚古墳は、密接な関わりをもちながら、ほぼ同時期に築造されたと考えられています。

両者を比較すると以下のようになります。

主体部と副葬品

甲斐銚子塚古墳の主体部は竪穴式石室で、副葬品には仿製三角縁神獣鏡(ぼうせいさんかくぶちしんじゅうきょう)・環状乳神獣鏡(かんじょうにゅうしんじゅうきょう)などがあります。岡・銚子塚古墳の主体部は粘土槨(ねんどかく)で、鏡3面の出土は知られていますが、鏡式が明確なものは鼉龍鏡と仿製二神二獣鏡の2面だけです。両者の主体部の違いは権力の差によるものと考えられます。また鏡については、甲斐地域の首長たちにとって三角縁神獣鏡ないし環状乳神獣鏡によって同族関係を承認し合うことが重要であったと考えられています。つまり、岡・銚子塚古墳は甲斐地域の首長たちの古墳とは一線を画しており、岡・銚子塚古墳の被葬者は八代地域の首長と捉えられています。

埴輪

甲斐銚子塚古墳、岡・銚子塚古墳ともに、同時期の同じような埴輪が出土しています。二つの古墳がほぼ同じ時期に築造されたことがうかがえます。現在(令和元年7月13日~)、考古博物館夏季企画展「山梨にでっかい古墳ができたわけ。」において、埴輪の展示がされています。

古墳の立地

甲斐銚子塚古墳は丘陵下の標高約260mの平野部に立地しています。それに対して、岡銚子塚古墳は丘陵上の先端部、標高約422mの非常に見晴らしのよい地点に立地しています。立地の選び方が違う両者の間には、やはり一線を画する理由があったのかもしれません。

岡・銚子塚古墳から見た盃塚古墳

岡・銚子塚古墳から見た盃塚古墳

盃塚古墳から見た岡・銚子塚古墳

盃塚古墳から見た岡・銚子塚古墳

おわりに

岡・銚子塚古墳の周囲は、「八代ふるさと公園・古墳の広場」として盃塚古墳とともに整備され、一般に開放されています。多くの人々が古墳と直接ふれあい、憩い、集うことができます。ぜひ訪れて、古代のロマンを感じてください。

参考文献:山梨県立考古博物館山梨県埋蔵文化財センター『研究紀要14』1998

山梨県『山梨県史資料編1原始・古代1』1998

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