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ページID:97601更新日:2021年4月1日
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「職業教育」と聞くと、どのようなイメージがありますでしょうか。「職業訓練」というイメージや、「技術工」や「技能工」をイメージし、直接自分はそのような教育を受けたことはない、と感じている方も多いのではないでしょうか。
しかしながら、誰人でも成人すれば、職業に従事することになります。このため、人は、生涯を通じて様々なキャリア形成を積み重ねていくことになりますが、どのような人であっても、何らかの段階において、「職業」についての教育が必要になります。
それでは、「職業教育」と「キャリア教育」は何が違うのでしょうか。文部科学省の中央教育審議会の答申では次のような定義がなされています。
■「職業教育」とは
「一定又は特定の職業に従事するために必要な知識、技能、能力や態度を育てる教育」
人は、専門性を身に付け、仕事を持つことによって、社会とかかわり、社会的な責任を果たし、生計を維持するとともに、自らの個性を発揮し、誇りを持ち、自己を実現することができる。仕事に就くためには、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる能力や態度だけではなく、それぞれに必要な専門性や専門的な知識・技能を身に付けることが不可欠である。
■「キャリア教育」とは
「一人ひとりの社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」
人は、他者や社会とのかかわりの中で、職業人、家庭人、地域社会の一員等、様々な役割を担いながら生きている。これらの役割は、生涯という時間的な流れの中で変化しつつ積み重なり、つながっていくものである。キャリア発達を促すには、外部からの組織的・体系的な働きかけが不可欠であり、学校教育では、社会人・職業人として自立していくために必要な基盤となる能力や態度を育成することを通じて、一人一人の発達を促していくことが必要である。
要約すると、「職業教育」とは「職業に従事するための教育」、「キャリア教育」とは「生涯に渡り社会人や地域社会の一員等として自立していくための教育」ともいえそうです。
参考:中央教育審議会答申「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」
県では、毎年、中学3年生を対象に、高校への進路希望調査を実施していますが、令和2年度第1次進路希望調査の結果を見ても、職業学科のある高校への進学希望者は全体の2割に満たない状況です。つまり、8割近くは、普通科や総合学科等への進学を希望していることになります。
これらの普通科等への進学者は大学への進学を希望する者が多く、高校卒業者の大学への進学率は約5割程度(短大や専修学校等も
含めると約7割)で、そのうちの大半が県外に進学している状況となっています。
一方で、令和2年3月に首都圏の大学等(東京、千葉、埼玉、神奈川の大学等)を卒業した山梨県出身学生のUターン就職率は27.3%となっています。
新型コロナウィルス感染症の拡大による影響等もあり、産業構造が大きく変化する中で、求められる人材は大きく変化しており、それに対応した人材育成を図るとともに、若者の県外への流出を防ぎ、県内への定着を図るために、県内企業への就職を促していく必要があります。
このため、産業界との連携などにより、地域の産業に求められる技術等を習得する機会を提供し、地元で活躍する人材の育成を進めるとともに、山梨で働く魅力を周知し、県内就職やU・Iターンを促すことで必要な人材を確保するため、総合計画のなかで、高校における新たな職業教育のあり方についての方針を策定し、高校において新しい職業教育を実践していくこととしました。
総合計画の政策2「産業を支える人材の育成・確保」の中で、「産業人材の育成に向けた高校教育の充実」を位置づけ、生徒の地域産業の魅力に対する理解を深め、本県の産業発展のために活躍できる人材を輩出するため、「高校における新たな職業教育のあり方についての検討」等を行うこととなりました。
令和2年度は、「高校における新たな職業教育のあり方の方針」を策定するため、庁内に検討委員会を設置し、産業界や学校現場等の意見を聴きながら調査や協議等を重ね、令和3年2月8日に「山梨県立高等学校における職業教育の方針」を策定しました。
山梨県立高等学校における職業教育の方針(PDF:220KB)
令和3年度は、新たな方針に基づく主な取組を次のように考えていますが、具体的には、モデル校を対象とした職業教育プログラムの開発・実践等を行うこととしています。
地域や産業界から求められる人材の育成に必要な実践的な職業教育の推進のため、普通科系高校と職業科系高校(いずれも総合学科含む)でモデル高校(以下「開発実践校」という。)を選出・指定し、県内企業等の魅力発見による職業理解や起業家精神の醸成、実践力の養成等に繋がる教育プログラムの開発・実践を行うこととしています。
職業教育プログラムは、次の4つとなります(詳細はイメージ図(PDF:515KB)参照)。
①職業発見・自己開発プログラム(対象:主に普通科系高校)
明確な目的意識をもった進学や職業を意識した進路選択が行えるよう、県内の職業・企業を知る機会や職業体験等を通して、社会
変革期を生きる多分野の職業について学び、自らの適性や可能性の発見に繋げ、職業選択の幅を拡げるプログラムを開発。
②起業・事業承継研究プログラム(対象:主に普通科系高校)
コロナ禍において新たな市場の開拓が求められる社会情勢のなかで、新分野進出へのチャレンジ意欲を喚起するとともに、機械電
子産業をはじめとする製造業や宝飾業等の様々な伝統産業の担い手を育成するためのプログラムを開発。
③革新技術実践プログラム(対象:工業系高校)
5GやDXの進展等に見られる産業構造の変化等に伴い、地域や産業界から求められる変化に柔軟に対応できる力が身に付けられる
よう、大学や企業等のアドバイザーのサポートを受けながら、先端分野の課題研究を行い、実践力等を養うプログラムを開発。
④異業種理解プログラム(対象:農業科、工業科、商業科、家庭・福祉、普通科系高校)
SNS等による販路開拓やVRを用いた品質管理等に見られるように、異業種での技術の活用が新たなビジネス展開の創出に繋がる
ことを視野に、自らの属する系列以外の分野の実践を踏まえた職業講和等を行い、新たな着想に繋げるプログラムを開発。
職業教育プログラムの開発実践校については、次の実施要項に基づき、上記の①、②からは普通科系4校、③からは工業系6校、④からは約5校(計20プログラム)を選定・指定することとします。
開発実践校の選定等にあたっては、提出書類の内容等を踏まえ、①地域や学科の特性、②実効性、③普及可能性の観点から総合的に評価し、このホームページにおいて、選定校等を公表したいと考えています。
上記の①、②の開発実践校は、校内に、教員や企業等の有識者、職業教育推進コーディネーター(下記参照)等を含めたプログラム開発チームを設置します。また、③の開発実践校は、企業等のアドバイザーの支援を受けながら課題研究を行い、④の開発実践校は、有識者を招いての実践的な職業講和等を行います。
・高等学校職業教育ビジョン推進事業(教育プログラム開発)実施要項(PDF:246KB)
・(別紙)令和3年度 職業教育プログラムの開発・実践イメージ等(PDF:1,155KB)
これまでに行ったアンケート調査等の結果によると、普通科系高校では県内企業の認知度の向上等、職業科系高校では即戦力となる技術力の養成やインターンシップのマッチング等に課題があることが分かりました。
また、コロナ禍の中で、企業や学校現場等においてもマンパワー不足となっている状況もあることから、学校と企業・大学等が円滑に協働して取り組みを推進できるように、企業・大学等との橋渡しを行う人物を配置することとしました。
職業教育推進コーディネーターは、高校改革・特別支援教育課に1名配置し、職業教育プログラムの開発支援や外部機関等との連携、講師の派遣、企業等との連絡・調整等を行うこととなりますが、開発実践校以外の高校への職業教育の相談や普及・啓発という観点からも、重要な役割を担うこととなります。
職業教育推進コーディネーターのご案内(PDF:125KB)
職業や就職等に関連する情報提供のページとなります。
・やまなし就職応援ナビ(産業労働部 労政雇用課)
山梨県がサポートする就職情報ポータルサイトです。イベント情報など就職活動に役立つ情報を提供します。
・新卒者就職応援企業ナビ(産業労働部 労政雇用課)
山梨県での就職を考えている新卒者の方に、県内企業の魅力や採用情報などを提供します。
・ネットジョブカフェやまなし(産業労働部 労政雇用課)
キャリアカウンセラーによる相談を中心に、就職セミナーや職業紹介等のサービスを提供し、若者の就職活動をサポートします。
・やまなし移住・定住総合ポータルサイト(県民生活部 地域創成・人口対策課)
山梨県へのU・Iターン就職を希望される方に、U・Iターンに係る支援制度、体験談、相談窓口、市町村の情報等を提供します。
職業教育プログラムの申請書の様式 |
職業教育プログラムの計画書の様式 |
職業教育プログラムの支出計画書の様式 |
職業教育プログラムのビジョンシートの様式 |
職業教育プログラムの成果報告書の様式 |
職業教育プログラムの評価シート・アンケート(①職業発見・自己開発プログラム)の様式 |
職業教育プログラムの評価シート・アンケート(②起業・事業承継研究)の様式 |
職業教育プログラムの評価シート・アンケート(③革新技術実践)の様式 |
職業教育プログラムの評価シート・アンケート(④異業種理解)の様式 |