トップ > 組織案内 > 県教育委員会の組織(課室等) > 埋蔵文化財センター_遺跡トピックスNo.0270鰍沢河岸跡
ページID:34791更新日:2017年6月22日
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富士川町の遺跡
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平成23年は卯年(うさぎどし)。 それにちなんで、うさぎの文様が描かれたお茶碗の紹介をします。 写真1うさぎの文様が描かれた茶碗 鰍沢河岸跡からは約千数百点と膨大な磁器がみつかっていますが、そのうちうさぎの文様が描かれているのは2点だけです。 右側のお茶碗のうさぎはよくわかりますが、左側のお茶碗にはどこにもうさぎか見えません。 その部分の彩色が剥げてしまっただけで、よーく見ると描かれている跡が見えます。 写真2 うっすらと跡が残っているのがわかるでしょうか。 実はこのように描かれているのです(図1)。 図1 「うさぎの餅つき」の文様でした。 ところで、うさぎがつかっている杵(きね)ですが、いま私たちがよく知っている杵と形が違いますね。現在の杵は横杵(よこぎね)といいうさぎが使っている杵は竪杵(たてぎね)です。 横杵は江戸時代になってから使われるようになったといわれています。 このお茶碗はおそらく1800年代終わりごろにつくられたと思われますが、このような資料をみると実際そのころ竪杵が使われていたのだとわかりますね。 竪杵は弥生時代から使われていた道具で、山梨県でも南アルプス市の油田遺跡(あぶらだいせき)で弥生時代の竪杵がみつかっています。 いまの杵のようにもちをつくのではなく、米などの穀物のもみ殻をついて取り除く(=脱穀する)ために使いました。 こちらもご参考ください。 遺跡トピックスNo.0081油田遺跡-田んぼと木製品 遺跡トピックスNo.0144油田遺跡-木製竪杵 鰍沢河岸跡についてはこれまでにトピックスで何回も紹介しています。 遺跡トピックス一覧からご覧ください。 竪杵の復元品竪杵の話に関連して、油田遺跡の竪杵の復元品を紹介します。 これは、当センターの事業の一つである埋蔵文化財活用事業により平成21年度に制作しました。 山梨県内の小中高等学校を対象として貸出しいたします。ご活用いただければと思います。 そのほかの貸出し資料も貸出しセット、埋蔵文化財活用事業のページでご案内しております。また、新たな貸出し資料を順次紹介していきます。 お気軽に当センター資料普及課へお問い合わせください。 写真3油田遺跡の竪杵復元品 うさぎと餅つき余談ですが、うさぎが月の中で餅をつく姿は、中国から由来したものです。 古代中国では不老不死を求める神仙思想(シンセンシソウ)というものがあり、漢の時代のお墓からはその思想をあらわす画像がみつかっていますが、そこには「うさぎが竪杵で仙薬(センヤク)をついている姿」が描かれています。 日本にその姿が伝わったものの、いつのころからか仙薬が餅に変わったのです。 参考文献井本英一:十二支動物の話〈子丑寅卯辰巳編〉,法政大学出版局(1999) お知らせただいま県立考古博物館では平成22年度冬季企画展 甲府市内の出土品3.「古代の道、中道からの眺め」を開催しています。 (12月11日(土曜日)~1月30日(日曜日)まで)。⇒この展示は終了しました。 開催期間が短いのでお見逃しなく、ぜひご覧ください。 また、同じく考古博物館では「新年干支展」(1月2日~30日)で今回紹介した資料を展示しています。⇒この展示は終了しました。 平成23年1月2日(日曜日)、1月3日(月曜日)に、恒例イベント「古代のもちつき」をおこないます。⇒この(平成23年)イベントは終了しました。 竪杵での餅つきを体験できます。ご参加お待ちしています。
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