トップ > 県政情報・統計 > 知事 > 開の国やまなし こんにちは。知事の長崎です。 > 知事記者会見 > 知事臨時記者会見(令和2年5月22日金曜日)
ページID:94948更新日:2020年5月23日
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防災新館401,402会議室 17時30分から
発表事項 発表事項以外の質疑応答
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知事
本日、山梨県におきまして、常設の新しい感染症対応の専門機関設立を目指しまして、知事政策局内に「疾病対策推進グループ」を設置することと致しました。
この新たな機関ですが、アメリカのCDC(疾病予防管理センター)と同様の積極発信型の感染症対応を目指す、いわば「YCDC」と言いますか、山梨版のCDCを来年度を目途に設立すべく、この新しい疾病対策推進グループにおきまして必要な準備をしていくことになります。
今回の新型コロナウイルス対応に関しましては、おかげさまをもちまして多くの皆様のお力添え、ご尽力によりまして、現状、ある程度感染者数は収まっているところですが、遡りますと、山梨県における感染症対策は、ある意味ゼロから手探りでの出発のような側面があったことは、否めないわけです。備蓄一つとりましても、感染症対応としての備蓄はほぼ存在せず、あるいは必要な訓練もやったことがありませんでした。これは恐らく、前回の新型インフルエンザの時の経験が一過性に終わってしまったことにあるのではないかと考えております。
従いまして、今回の新型コロナウイルスにおける様々な経験、あるいは県民の皆様にとってのご負担が一過性で終われば、また元の状態に戻って、新たな感染症がやってきたときに同じような負担をしていく、そのような事態は避けるべきだと思います。多くの皆様の今回の本当に厳しい思いを、必ず将来に繋げていかなければならないと思っております。
今般の感染症対応に関しましても、しっかりと検証をして、反省すべきところ、改めるべきところを明らかにして、更なる対応ノウハウの蓄積、改善に繋げたいと思いますし、平時からの準備、例えば備蓄、訓練に関してもしっかりと行っていくことで、第2波には間に合わないかもしれませんが、今後やってくるであろう新たな未知の感染症に対しても備えを高めていきたいと思います。
今回、新たな組織の設立を目指して、様々な検討を行っていく組織を立ち上げるわけですが、いわゆるYCDCに関する詳細は、この組織においてしっかりと議論をしていくことになりますが、方向性としましては、次のようにしたいと思います。
まず1点目といたしましては、国内外の研究機関、あるいは公衆衛生機関と直接のチャンネルを持つようにしたいと思います。現在、残念ながら山梨県におきましては、厚生労働省あるいは国立感染症研究所、いわゆる国の組織からやってくる、いわば二次情報、三次情報に頼っているわけですが、最新の知見が幅広く得られるように、国内外の関係機関との直接のチャンネルを持つようにしたいと思います。こういう観点から、この新しい組織には、グローバル・アドバイザリー・ボードを設置したいと思います。国内外の感染症問題の最前線の専門家の先生にアドバイザリーにご参加をいただいて、そこから最新の知見を直接いただけるようにしたいと思っております。本日は、具体的な名前を申し上げるわけにはいきませんが、既に何人か打診をしているところでございます。
2点目は、この新機関におきましては、感染症対策の立案から実行まで、一元管理をするようなものにしていきたいと思います。未知の感染症がやってきた時に、機動的に対応できるようにしていきたいと思います。縦割りの行政ではなく、感染症に対して、一番高い権威と権限を持つような形にしていきたいと思います。
3点目は、平時においては、必要な医療資材の備蓄計画、あるいはその対応に関する訓練を司るような組織にしていきたいと思います。
4点目でありますが、先般、山梨県におきましては、グリーン・ゾーン構想を発表させていただきましたが、新たな認証制度を構築していくことになります。例えばこの基準のあり方についても、アドバイスをして、知見を提供する役割を担っていただくことを期待しているところでございます。まずは、常設の機関として立ち上げることが重要であると思っておりますので、なるべく急いで、できれば来年度から発足ができるように作業を進めていきたいと考えています。
記者
積極型発信というのは、具体的にどのようなことを想定していますか。
知事
例えば、未知なる感染症が発生した場合に、関連する行政部局や市町村、あるいは県民の皆様に対して、情報提供をしていただくこと、更には、様々な知見を踏まえ、山梨県においてどう活用できるかということを考えて、提案・提言をいただくことを念頭に置いています。
記者
YCDCという名称でいいでしょうか。
知事
仮称です。
記者
アメリカのCDCの場合、感染症だけでなく、家庭内暴力や児童虐待など、幅広く扱うと思いますが、山梨が立ち上げる組織については、感染症に特化したものになるのでしょうか。
知事
まずは、感染症だと思います。
記者
組織のトップについて、具体的に想定している人材はいますか。
知事
おりますが、これからの具体化の議論において決めていきます。
記者
山梨大学医学部附属病院や県立中央病院との連携は考えていますか。
知事
しっかり連携が取れるようにしていきたいと思います。
記者
山梨大学医学部附属病院や県立中央病院の方々も、組織に入りますか。
知事
そういうイメージでおります。具体的な連携の仕方については、これから具体化する作業の中で、しっかりと相談をしていきたいと思います。
記者
組織設立について、一次情報を収集できる体制をとることに重要な意味があるとおっしゃいましたが、今回の新型コロナウイルス対策において、一次情報が得られないことによる弊害や問題点があれば教えてください。
知事
例えば、クラスターがどういう場面で発生するかに関して、海外では様々な経験が積まれておりますが、こういう情報は厚生労働省からいただければいい方で、様々なネット情報、その他加工された情報を受けて、それを基に政策立案をしてきたのが実情です。今は早期発見、早期治療という方針でPCR能力を増強し、早く感染された方を見つけて隔離をするという方向に舵を切っておりますが、少し前まではそうではありませんでした。これからの検証次第ではありますが、そもそも情報自体が不足していたため、本当はもっとできたであろうことも含めて、これからしっかり今までの対応を検証していきたいと思います。
記者
早期発見、早期治療の話がありましたが、国よりも積極的な受診の目安を呼びかけるなど、独自な指針を示していますが、今回の新しい組織の設立によって、それらのことを加速していくこともありますか。
知事
独自というか、かなり先導的だったと思います。受診の目安に関しても、我々が打ち出した基準は、国が後追いするような形で拡大をしていきました。そういう意味では、正しい道を歩んでおり、国よりも少し早く打ち出すことができたと思います。
新しい組織を作ることで、新たな知見をより早く提供できれば、県内では感染リスク、感染の被害を低減させることができます。また、国全体にとっても、そういう知見が提供できれば、大きなプラスになりますので、ここをしっかりとしたものにしていきたいと思います。
記者
新しい組織の役割には、情報の収集と発信、県の疾病対策の政策立案や実行があると思いますが、医師などの専門家もアメリカのCDCには参加していますが、研究という機能も持たせるのでしょうか。
知事
もちろん、そういう機能が入ればいいですが、県の規模を踏まえれば、山梨県がアメリカと同じ事をできるわけではありませんので、まずは情報の収集、それを踏まえた政策の立案、そして責任を持った実行が業務の重要な柱になるのではないかと思います。
記者
新しい管理センターができたら、保健所などの組織が変わることになるのでしょうか。
知事
県の組織自体は変わりません。法律上できるかどうか分かりませんが、県内の保健所を指導するような立場にしていきたいと思います。
記者
最終的に組織の規模はどれくらいになりますか。
知事
これから議論していきます。
記者
新しいセンターは、県庁内ではどういう扱いになりますか。
知事
独立した機関です。
記者
感染症対策は、健康増進課や保健所が中心に対応していますが、健康増進課では、どういったところに限界があり、新たにセンターを作らなければならない必要に迫られているのかを詳しくご説明願います。
知事
一番の問題は人事異動があるということだと思います。健康増進課や保健所の職員は日夜を問わず、何ヶ月間も苦労しています。そこで様々な知見が蓄積をされているのは間違いありませんが、人事異動により新しく入ってきた人は、またゼロからの積み上げになってしまいます。今回のこの厳しい経験は、引き継ぎはしますが伝わりにくいこともありますので、しっかりとその知見が組織的にも人的にも伝わりやすい形にすることが必要だろうと思います。
また、健康増進課も、感染症対策だけではなく他の業務も持っていますので、今回の感染症状況が過ぎると、喉元すぎればという状態になりかねません。感染症に対する準備というのは、日頃から着実にやっていくことが重要ですので、感染症対応を主たる任務とする組織において、日常から滞りなく準備を進めていく上では、独立の専門機関という方がより望ましいように思います。
また、医師や海外の研究者等との人間関係の構築も一定期間かかると思いますので、専門機関として人脈を構築していただくことが望ましいと思います。
記者
来年度から専門の職員を雇うということでしょうか。
知事
これから考えていきます。
以上