トップ > 組織案内 > 県教育委員会の組織(課室等) > 埋蔵文化財センター_遺跡トピックスNo.0435上の平遺跡
ページID:71416更新日:2017年5月15日
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上の平遺跡は、考古博物館・埋蔵文化財センターのある甲斐風土記の丘・曽根丘陵公園の中にあります。
上の平遺跡といえば、以前のトピックス(参照:遺跡トピックスNo.211)でもご紹介したとおり、
この地域に古墳が出現する直前の様相を伝える弥生時代後期後半(今から1,800年前)から古墳時代前期初頭(今から1,700年前)にかけて造られた方形周溝墓群(ほうけいしゅうこうぼぐん)があり、現在「方形周溝墓広場」として保存・整備され、その大きさや位置を実際に見て歩けるようになっています。
写真)上の平遺跡第5次調査風景
しかし、上の平遺跡からは、方形周溝墓群だけでなく、様々な時代の遺構や遺物がみつかっています。今回はその中から縄文時代の住居跡について紹介します。
遺跡名:上の平遺跡(うえのだいらいせき)
時代:旧石器時代~平安時代
所在地:山梨県甲府市下向山町
報告書:山梨県埋蔵文化財センター調査報告書第29集
『上の平遺跡-第4次・第5次調査報告書』1987
調査機関:山梨県教育委員会
【関連トピックス】
★NO.0211上の平遺跡―方形周溝墓群―
★NO.0299上の平遺跡―地震の痕跡―
写真)第34号住居
上の写真は上の平遺跡からみつかった縄文時代前期の終わり頃、今から約5,000年前の竪穴住居跡です。中央に深鉢形土器を埋めた埋甕炉(まいようろ)とよばれる住居の床面に下半部を打ち欠いた土器を埋め、その内側で火をたく施設(参考:遺跡トピックスNo.165竜安寺川西遺跡)があり、その周囲に柱穴がめぐっています。
また、住居の西側(写真右側)には、下部が外側に広がる形の穴があり、貯蔵穴と考えられています。
その貯蔵穴の中からは、30cmほどの石とともに土器がバラバラの状態でみつかりました。
写真)貯蔵穴からみつかった土器の出土状況
みつかった土器片を復元すると下の写真のように、ほぼ完全な形の深鉢形土器であることがわかりました。この土器は住居と同じ縄文時代前期の終わり頃のもので十三菩提式(じゅうさんぼだいしき)土器とよばれ、細い粘土の紐に縦割りした竹管のような道具を連続して押引きした結節浮線文(けっせつふせんもん)とよばれる技法で文様が描かれています。
写真)貯蔵穴からみつかった縄文土器
山梨県では、縄文時代の遺跡が多く、住居も非常に多くの住居跡もみつかっています。しかし、今回紹介した、縄文時代前期の終わり頃の住居跡は縄文時代のほかの時期と比べると、きわめて少なく、土器片もほとんどが破片の状態でみつかっており、上の平遺跡からみつかった住居や土器は貴重な発見といえます。
この十三菩提式土器は、山梨県立考古博物館でみることができます!みなさん、ぜひ会いにきて、じっくりご覧ください。