ページID:103786更新日:2022年4月4日
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防災新館401,402会議室 15時30分から 発表事項 発表事項以外の質問事項 |
知事
新型コロナウイルス感染症の本県の感染状況につきまして申し上げます。
昨日までの1週間の新規感染者数ですが、1638名と前週と比べまして473人の増となっております。
また昨日の公表後、これまでに判明している新規感染者数は、すでに300人を超えておりまして、大変高い警戒感を持って対応すべき状況であろうと考える次第です。
感染の態様を分析いたしますと、一つは高齢者施設においてクラスターが発生しております。
また、高校や大学などにおける運動部の部活動の場におきましても、多くの感染が確認されています。
こうした状況が顕著に見られますので、施設関係者の皆様、また学校関係者の皆様におかれましては、特にご注意をしていただく必要があります。
そのうち高齢者施設でのクラスターは、重症化リスクの大きい高齢者の命を脅かすことに直結いたしますので、これまでも特に対策に重点を置いてきたところでありますが、従前は入所系の高齢者施設においてクラスターが発生しておりましたが、最近は通所系の施設におきまして散見される状況にあります。
こうした通所系の施設におきましては、入浴や食事の場面でマスクを外すことにより、感染リスクが高まるという特性があります。
このため、施設側の感染防止対策の徹底はもとより、施設を利用される高齢者の皆様、またそのご家族の皆様におかれましても、基本的な感染防止対策の徹底と、ワクチンをまだ打たれていない方につきましては、早期の接種を特に強くお願いを申し上げます。
なおすでに先月、各市町村に対しまして、通所系の施設職員へのワクチン接種を優先的に取り扱っていただくようにお願いをしているところですが、改めまして3回目の接種の加速化をお願いいたします。
もはや猶予をしていられるような状況ではないという認識を持って、各市町村の皆さんはもう1回、管内の通所系の施設に対して働きかけを行っていただきたいと思います。
極めて深刻な、憂慮すべき状況であると認識をしていただきたいと思います。
県といたしましても、現在、集団接種会場の準備を進めております。
準備が整い次第、改めてご案内いたしますので、積極的にご活用いただき、早期の接種を終えていただきますようにお願いをいたします。
次に、高校大学における部活動の場における感染防止対策についてですが、通常の生活場面と同様、活動時のマスク着用が有効であります。
運動の際、マスクが口に張り付いてしまい呼吸がしづらいということで、やむを得ず外してしまうようなこともあり得るとは思いますが、これらの場面におきましては、インナーフレームを活用するなどして、或いはそれができなければ、運動の強度自体を調節していただいて、マスクの着用時間をなるべく長くしていただきたい、そういう対策をとっていただきたいと思います。
私どもとしましては、度重なる協力要請で、かつ類似のことをお願いして参りましたが、できる限りそういう事態は避けたいと思っております。
学校関係者の皆様におかれましては、再び部活動への制約を強化せざるをえない事態を回避するべく、現場における感染防止対策に最大限の注意を払っていただきたいと思います。
このほか、保健所における疫学調査の行動歴の確認によりますと、歓送迎会、或いは親族間での会食という場面でも、残念ながら感染の原因となっていることが散見されます。
会食される場合には、是非ともグリーン・ゾーンの認証施設をご利用いただくとともに、マスク会食の徹底、或いはお店が定める感染防止対策のためのルールの遵守を改めてお願いをいたします。
先ほど申し上げましたように連日300人前後という事態でありますので、各お店におきましても、パーテーションをはじめグリーン・ゾーンの認証の基準で求めるルールを改めて徹底していただきますようにお願いいたします。
これ以上の感染拡大を防ぎ次の波の発生を早期に抑え込んでいくためにも、是非とも県民の皆様には、マスクの着用、手指消毒、換気などの基本的な感染防止対策、是非とも継続して徹底をしていただきたいと思いますし、また併せまして接種券が届き次第、速やかにワクチンの3回接種を終えていただくよう、重ねてお願いを申し上げます。
直近の新型コロナウイルス感染症の状況、併せまして、それに対する私どもの対処方法のお願いは以上でございます。
記者
コロナの関係で、また少し増加に転じているような状況ですが、全国的にも近いような、似たような現象が起きていて、専門家の中には第6波のリバウンドという見方と、第7波の始まりではないかという見方もあるのですが、知事の今の認識としては、どのような認識でいらっしゃいますか。
知事
本県におきましても、要はBA.2への置き換わりというのは、急速に進んでおりますので、株が違うという意味では新しい波が合わせてやってきた、こう考えるべきではないかと思っております。
BA.2の感染力は、ものの本によりますと、今のオミクロンよりも1.3倍とか1.4倍感染力が強いということで、ついこの前まで大体200人前後で推移していたものが、今300人前後ということで、単純な計算ではないのでしょうけれども、そのようなことも踏まえれば、これはやはりBA.2の影響というのは大変大きいもので、これは第6波とはまた異なるものなのだろうと、私は個人的にはそう感じています。
記者
今のコロナの関係で感染者数がまた増加に転じているという中で、知事は、経済再生のアクセルとブレーキという点もおっしゃっていましたが、やはりブレーキをかけるという時の判断は、その感染の人数よりも病床使用率が50%とか、そういったところがやっぱり基準になってくるのでしょうか。
知事
おっしゃる通りです。今回も感染者の直近の状況を見ても、やはり、まずは10代以下のお子さんが多い。かつ、ここのところはさらに20代も増えて参りましたが、若い人が多い。そのお子さんにつられて今度親御さん世代の30代、40代の方も多い。
こういう状態である一方で、高齢者は比較的少ないわけでありますし、また入院される方も、デルタ株の時に比べれば、少なくなっているということもありますので、そういう意味で、私どもとしては、これは第5波第6波の対応と同様、病床、病院、病床使用率、ここをしっかり見ていって、ここの余力がある限りは、ウィズコロナで経済をまわしていくという対応をとるべきだろうと考える次第であります。
知事
次に、令和4年度の始まりに向けまして一言申し上げたいと思います。
まずはじめにウクライナに関する状況についてですが、戦禍がおさまる気配は今のところまだなく、ここ日本、或いは山梨におきましても、大変心を痛める毎日が続いております。
日々犠牲になられておられます皆様方に対しまして、深く哀悼の意を表しますとともに、一刻も早くウクライナにロシアが、他国の領土に侵略しているような事態から解消していただき、早くウクライナ領土から撤退して戦争終結させていただきたいと思います。
またそれに向けまして日本国政府に対しましても、最大限の尽力をしていただくよう、希望をする次第であります。
次に、新型コロナウイルス感染症に関しましては、今申し上げましたとおりですが、若干振り返りますと、本県におきましては、これまでグリーン・ゾーン構想の進化、或いはワクチン接種の促進、山梨ホームケアなどの自宅での療養体制の確立などを進展させていくことによりまして、感染の波が訪れるたびごとに対応を高度化してきたのではないかと思います。
現時点におきましても、依然として多くの新規感染者の発生はあるものの、病床の使用率は50%を下回る状況を維持しておりますので、引き続き経済回復に向けて歩みを進めることができるだろうと考える次第であります。
全国的に相当程度の感染者が発生し続けている状況からしても、当面の間はゼロコロナというものは望むべきものではなかろうと考えます。
従ってコロナウイルスとの共存を前提といたしまして、ウィズコロナで経済を回していくようなチャレンジを続けなければならない局面に、私たちは立っているものと考えます。
逆にこうした局面は、いち早く社会の強靱化を進めて参りました山梨県が先行者優位に立ちましてその果実を取っていける機会が開いているとも言えようかと思います。
コロナ禍でさえしたたかに成長の機会として生かしていく、勝ち残るものはもともとの強者ではなく、状況に適応できるものであると、こういう考え方のもとに、今年度も戦略的に思考し、機動的に実践を行っていく1年にして参りたいと考えております。
一方で新型コロナへの困難な対応が続く中で、繰り返し感じてきましたのは、県民の皆様或いは関係者の皆様との連帯の大切さであります。
対応初期の段階におきましては、医療資源や物資などの一切が欠乏状態であり、感染症対策は、その治験も含めましてほぼゼロからのスタートでありました。
これが今日の状況にまで進化を遂げてこられましたのは、山梨大学や県医師会、各地区医師会など、医療従事者の皆様のご尽力あってのことでございます。
また、グリーン・ゾーン認証制度に参画されてこられました事業者の皆様は、この感染症に対して強靱な社会づくりに大きく寄与をしてこられました。
このほか、コロナ禍におきましても山梨の社会を安全にできるだけ暮らしやすく保とうとされてこられました県内各界各層の皆様のご尽力、これは計り知れないものがあろうと思います。
山梨県は、このような皆様と共通の同じ土俵に立ちまして、連帯をして、この苦境を乗り越えて参りました。
これからも官民隔たりのない連帯感に基づきます信頼資産、これを基盤といたしまして、感染防止対策と経済生活が高い次元で両立する超感染症社会への進化を一層推し進めて参りたいと考えます。
その上で本県が、ポストコロナにおいて全国トップクラスの豊かさを誇る地域へと成長を遂げるべく、県民の皆様とともに総力を挙げ、私ども県庁がその先頭に立って牽引をしていく所存であります。
この覚悟をもとに、今年度の基本方針につきまして改めて申し上げます。
ご案内のとおり、今年度は県政の重要テーマとしては三つの柱を掲げております。
すなわち「強靱化」、「高付加価値化」、「基礎条件の充実」、以上三つの頭文字をとりました「K」を掲げまして、重点的に取り組んでいきます。
まず強靱化につきましては、感染症、自然災害、犯罪事故という三つのリスクに対して、強くしなやかな社会を実現すべく、取り組みを進めていきます。
そもそも、個人の努力では避けがたいリスクから県民の生命財産を守り抜いていくこと、これこそが県行政に課せられた一丁目一番地の使命であると考える次第であります。
ここ山梨の地を、県民がそれぞれ持てる可能性を追求し、花開かせるにふさわしい舞台として盤石なものにしていきたいと考えます。
そのために、リスクに対する備えを万全にし、皆様の不安を取り除いて参りたいと考える次第であります。
まず感染症に対する強靱化についてですが、先ほど申し上げましたように、感染拡大の波の襲来ごとに本県は様々な知見の積み上げに基づきまして、或いはその時々の創意工夫によりまして対応力の高度化をなし遂げて参りました。
引き続き、医療提供体制の確保、検査体制の充実に万全を期するとともに、ワクチン接種を加速させるべく、全力投球でいきたいと思います。
またグリーン・ゾーン認証の品質保持と、プレミアムクラスの新認証の稼動開始、認証対象外業種における感染防止対策のレベルアップを図ります。
さらには、中長期的な課題を今から着手するという意味におきましても、感染症専門医など感染症に関する専門人材を養成して参ります。
これらの取り組みによりまして、山梨というコミュニティの構成員たる県民の皆様、またすべての関係者の皆様との連帯を基盤として、ウィズコロナでも前進し続けられる強靱な社会づくりを一層加速させていきたいと考えております。
次に自然災害に対する強靱化に関しましては、これまで3年間、交通の強靱化や、電力供給の強靱化につきましては、着実に進展して参りました。
今年度もさらに、豪雨や大規模地震、富士山噴火といった災害リスクに備えまして、社会資本整備の充実を着実に推進して参ります。
またこれは先日のことでもありますが、新たな富士山ハザードマップを元に避難計画を改定し、現地対策拠点の速やかな立ち上げのための準備を怠りなく進めて参り、豪雨に備えまして流域治水対策のさらなる具体化を進めアクションプランを策定して参ります。
こうした取り組みによりまして、とかく目をふさぎがちな巨大災害に対するリスクに対しても、私たちはしっかりと目を見開き正面からのリアルな対策を構築すべく力を尽くして参りたいと考えます。
これは県民の皆様に対する責任はもとより、首都圏の企業のBCP対策の受け皿としての使命を果たす観点からも大変重要なものと位置づける次第であります。
次に犯罪事故に対する強靱化に関しましては、まずは子供たちを守る交通安全対策の徹底、防犯カメラの整備など地域の防犯力の強化など、交通事故或いは犯罪で突如として生命や財産が脅かされるようなことがない県民の身近な安全安心が確保された社会づくりを進めて参ります。
またこれら事前予防への全力投球はもとより、今後、犯罪被害者支援の条例制定など、不幸にも犯罪や事故に遭遇してしまった方々を社会全体で支える仕組みの構築を着実に進めて参りたいと考えます。
二つ目の柱、高付加価値化についてですが、これは産業、観光、文化、生活などあらゆる分野で、高い付加価値を生み出せる構造を作り出し、人口減少下にありましても、県民一人一人が豊かさを実感できる山梨を実現していきたいと考える次第であります。
ご案内のとおり、私から申し上げるまでもなく、本県は大変素晴らしい可能性に満ちた産業、或いは、地域資源に溢れているわけではありますが、残念ながら、多くの可能性がこれまで十分に活用されずに放置され、或いはいい素材があるのですけども、それが素材のままで付加価値をつけずに安売りをされてきたというのが、現状の一側面ではないかと考えます。
活用されてこなかった可能性を再度掘り起こし、そしてあらゆる角度から光を当てて磨き上げ、或いは複数の可能性の相乗効果を考えることにより、付加価値を高めていく、こういうことを徹底することにより、その果実収益を県民の皆様に還元して、その豊かさの実感につなげていきたいと思います。
こうした観点から、一つは分野横断的に高付加価値化を進めるブランド戦略というものを重視していきたいと思います。
可能性を可能性のまま、或いは素材を素材のまま放置せず、しっかりと山梨ならではというブランド価値をつけて、高く売り出していくこと。
そのためにこそ、このブランド戦略プランをしっかりと進める必要がありまして、これは昨年度から本格的に着手しているところであり、山梨が世界に誇ります各地域資源の上質さ、これをPRして、山梨という全体のブランド価値を高め、それがさらにこの地域資源の価値向上をもたらす、こういう好循環を確立していきたいと思います。
この循環速度を上げていくため、全庁挙げて取り組んで参りたいと考えております。
次に観光の高付加価値化につきましては、本県ならではの食或いは体験を取り入れましたプレミアムツアーの造成など、誘客促進に繋がる施策を積極展開すること、さらには、文化芸術ですとか、後でも触れますがスポーツなど、これまで必ずしも十分活用されてこなかった切り口を活用して、新たな観光事業の取り組みを進めていきたいと思います。
こういう取り組みにより、この観光産業に薄利多売体質からの脱却を促し、高付加価値で高収益な体質への変革に導いていきたいと考える次第です。
と申しますのも、観光業が魅力を高めることにより、サービス業を志向する若い女性の就業の受け皿、いわば、憧れの職として、成長を遂げることができれば、これは人口の流出抑制にも繋がる効果というものも期待できるわけで、観光に関しましても、山梨が誇る地域資源の最高峰、富士山の観光につきましても、これもやはり薄利多売から脱出し、高付加価値化を図らねばなりません。
現状のまま放置をしておくといずれ消費され尽くして、国内外の皆さんから見向きもされなくなってしまうということも、十分起こり得るということを念頭に置いて、様々なことを考えていかなければならない、そういうタイミングもきたかと思います。
この観点から、富士山の登山鉄道構想につきましても、着実に議論を進めて参りたいと考える次第です。
次にスポーツに関しましては、先ほどスポーツコミッションが立ち上がり活動を開始したところであります。
スポーツで稼げる県づくりに向けて、サイクルイベント、アウトドアアクティビティの開発など、コミッションが核となりまして、スポーツで経済価値を生み出せる仕組みの確立に取り組んで参りたいと思います。
ここは比較的新しい行政分野でもありますので、フロンティアは広大、創意工夫したいということです。
関係者の活躍を特に期待する分野の一つであり、そして本県の主力産業であります製造業、これにつきましても引き続き高付加価値化を進めて参ります。
これまで、メディカルデバイスコリドー構想のもとで、医療機器産業への参入拡大を通じまして大変大きな成果を上げております。
本県の機械電子工業の稼ぐ力というのは着実に伸びていると考えており、今年度もさらなる成長を貪欲に実現して参りたいと思います。
まずはメディカルデバイスコリドー推進センターの機能を強化して、さらなる医療機器産業への参入を加速していくこと。
或いは、それに加えまして小型燃料電池の実用化支援等をはじめとして、水素燃料電池関連産業への本県メーカーの参入環境を整備していく取り組みにより、本県の基幹産業であります機械電子工業の高付加価値化と将来に向けて安定した成長性をビルトインしていきたいと考えました。
このほか、既存の産業に加えまして、今年は特にスタートアップ企業の成長支援策に対して注力をして参りたいと思います。
体制をさらに強化させまして、これにつきましても本気で取り組んで参ります。
あわせて実証実験のサポートの拡充ですとか、手厚い伴走支援ですとか、様々なことを合わせて行って参りたいと考えます。
いずれにしても、事業者の皆様のニーズに寄り添った支援を提供するとともに、時代を先取りする打ち手が可能となるように、変化の著しい産業界の動向に常に目を配りながら、アンテナを高くして取り組んでいきたいと思います。
なお本年度、米倉山に整備中の次世代エネルギーシステム研究開発ビレッジが開所いたします。
そこにはFCキュービックがいよいよ本体移転して参ります。
これにより、山梨県が我が国の燃料電池研究の中心地としての地位を確立することになろうと考えます。
また同じくこの米倉山を拠点といたしまして、このP2Gにつきましても、さらなる技術開発を加速させていきたいと思います。
加えてこのP2Gに関しましては、今年度、利用拡大を飛躍的に進めまして、ビジネスベースの構築に向けて大胆な一歩を踏み出していきたいと思います。
詳細につきましては今後追って機会を見て発表させていただきたいと思います。
農業に関しましては、生産品そのもののブランド価値を高め、少量でも高価格帯の市場をターゲットとする戦略と、それから生産性効率を高めまして、より大きな生産量、販売量を確保する戦略、これら二つを同時並行で進めていきたいと考えています。
このうち前者の農産品のブランド価値向上に当たりましては、昨年度までに4パーミルイニシアチブですとかアニマルウェルフェアなどの公的認証や、「おいしい未来へやまなし」ブランドの創設など、下地を整えつつあるところであります。
また後者の生産性効率を高める取り組みに関しましては、新規就農者対策に加えまして、その一環と言うのかもしれませんけども、スマート農業の実用化、さらにはデータ農業につきましても新しい取り組みを、昨年度に引き続き推進していきたいと思います。
いずれに関しましても、縮小する国内市場の先を見据えまして、海外需要も着実に取り込むべく、生産流通販売の三位一体改革、これをしっかりと進めていきたいと考える次第です。
それから、林業に関しましても、県立農林大学校に森林学科が開校をいたします。
めでたく9名の入校者をお迎えするところであります。
恵まれた森林資源、これも山梨の大いなる可能性の一つであることはもう論を待つことがないと思います。
これをしっかり活用して、地域の稼ぐ力の一角を担えるようにして参りたいと思います。
そのためにこそ、担い手の育成をしっかり進め、スマート林業の推進によって生産性を高め、若者を引きつける高収益型の林業を確立していきたいと思います。
私どもの目標は、「林業で豊かな生活ができる」、こういう林業を作りたいと思います。
最後3番目の大きな柱基礎条件充実ですが、これは、1人1人に目が行き届き、個々人の能力、或いは個性が存分に発揮できる社会の実現を目指していきたいと考えます。
そのための最重要課題は、共生社会の実現となっています。
しかし、男女共同参画女性活躍が極めて重要な施策として位置付けているのはご案内の通りでありますが、それを始めまして、多様な価値観を認め合い、誰もが活躍できる共生社会を実現していくことは、本県を国内外から、多種多様な人材が集う場所としていくためにも、欠かすことのできない必須条件であります。
この変革を成し遂げられるかどうか、これこそが将来の山梨の浮沈の鍵を握ると認識をしております。
これに共生社会の実現に取りかからなければ、山梨は遠からず、県域全体が限界集落化するという恐れがあると言っても過言ではない危機感を持っております。
この危機感を背景にいたしまして、本日からスタートいたしました男女共同参画・共生社会推進統括官を中核といたしまして、現在、そして未来の山梨県民から与えられた重要ミッションとして位置づけるこの共生社会の実現を社会の変革を断行していきたいと考える次第です。
次に子育て環境の充実に関しまして、これは私の就任とともに設置をいたしました子育て支援局は4年目を迎えますが、我が県の子育て施策は間違いなく、この支援局の活躍によりまして、全国のトップランナーに位置付けられていると考えております。
山梨の子供たちは、まだ生まれてきていない子供たちも含めまして、山梨の未来そのものであります。
新しい姿の待機児童ゼロの追求、ヤングケアラーの支援の実行フェーズへの移行など、子供たちをめぐる様々な課題に対しまして、着実にしっかりとかつ迅速に対応して参りたいと考えます。
次に、教育の質、教育の水準の向上ですが、山梨教育で育まれる子供たちは、自己肯定感の高さ、或いは人に役に立ちたいと思う公共心におきましては、全国最高水準に位置している、これはご案内の通りであります。
こうした子供達こそ本県が秘めた最大の可能性であり宝物であります。
そして、このような子供たちを育む山梨の教育は、高い付加価値を生み出す機能性に優れ、人間性に溢れた、いわば可能性創出システムであり、この山梨の教育自体も、全国に誇り得る宝物だろうと考える次第であります。
本日から新たに小学校2年生にも25人学級を導入し、個々の児童の資質能力をきめ細かく育むための体制が拡充したところであります。
今年度は、その導入の効果を検証いたしまして、小学校3年生以降の導入につきましても、検討を行うべき時期であります。
少人数教育の推進によりまして、山梨教育の価値をさらに高め、家庭環境やその子自身の状況の如何にかかわらず、すべての児童生徒がそれぞれの可能性を伸ばし、次世代の山梨の付加価値を大きく高めていくようにしていきたいと考える次第であります。
基礎条件の4本目の柱、介護待機者ゼロに関してですが、これはまさに働く人にとりましても最大の関心事項であります。
子育て教育に加えまして、親御さんの問題というのも大変重要です。
従いまして、その介護というものは、高齢者ご本人にとりましてももちろん重要でありますし、まさにそれを支えるお子さんたちの世代、働く世代にとりましても大変重要な関心事項であると考えており、私といたしましては、必要が生じたら、いずれかの介護施設には入所できる環境をまずは整え、介護離職を余儀なくされるような状況というものは解消していかなければならないと考えます。
これこそ、働く人世代の可能性発揮に欠かせない基礎条件でありまして、家計の貧困或いはヤングケアラーの問題までも、未然に防ぐ根本施策であろうと考える次第であります。
介護待機者ゼロの実現に向けて、特養の拡充、或いは介護職員の処遇改善など人材確保策を確実に進めて参ります。
少人数教育の拡充、或いは介護待機者ゼロを目指す上で、欠かせないものは、相当規模での恒久的かつ安定財源の確保であります。
そのためには、県有資産の貸し出し適正化と高度活用というものは避けては通れません。
特に、一部の県有地の賃貸借につきましては、これまで長きにわたり、地価を大きく下回る、いわば異常な算定方法により貸し出されてきたと言わざるをえません。
そして、この状態を放置することは、法律上違法無効であるばかりではなく、特定の企業を優遇するために、山梨の宝である子供たちの未来を犠牲にするものだと評価できようと私は考える次第であります。
県有地の賃貸借につきましては、少なくとも、地価に基づく適正賃料をもとに、賃料というものを県民に還元をしていかなければなりません。
加えまして、県、賃借人の双方が協調して投資を行い、資産価値を高めることによりまして、賃貸土地の収益性の向上を通じた賃料収入の増額により、県、賃借人、そして県民の三方良しという好循環を作り出すことを合わせて目指すべきであると考える次第であります。
これが、県民から付託を受けて、県有資産を管理する管理人として、或いはその運用を担うマネージャーとしての責務を果たすことそのものであると考える次第であります。
駆け足で今年の取り組み方針の概要を申し上げましたが、すべての施策に共通するキーワードとなるのは、「可能性」であろうかと考えます。
山梨県が内包するすべての「可能性」、山梨県民が秘めたすべての「可能性」、そして子供たちの内なる「可能性」を、すべて花開かせていきたい。
また、国内外から様々な「可能性」を携えた人が、この山梨に集い、活動する。こうした多様な人々が、いわば人材のるつぼとなった山梨で、互いの「可能性」をぶつけ合い反応させあって、さらなる付加価値を生み出すようにしていきたい。このような将来を思い描いております。
この「可能性」の好循環がエンジンとなりまして、高い付加価値を生み出し続けるという構造を、県民総参加のもとに、確立をしていきたいと考える次第であります。その時、小なりと言えども、本県は世界水準で見ても、ハイグレードの地域の仲間入りを果たしているはずであります。
私が常々、「山梨を日本のトップランナーに」と繰り返し申し上げているのも、この「可能性」あってのことであり、山梨の発展のポテンシャルに対しまして、揺るがぬ確信を抱くからであります。
令和4年度を、山梨が「令和の雄藩」として立ち現れ、飛翔するためのエポックを画する年にしていきたい。そして80万県民の皆様に寄り添いながら、日本のトップランナーを目指して邁進する年度にしていきたいと考えます。
この1年、皆様の一層の力添えを何卒よろしくお願いを申し上げます。すみません長くなりましたが、今年度に関する抱負は以上でございます。
記者
令和4年度の始まりに向けてたくさんのご説明がありましたが、その中で富士登山鉄道についても、構想はすでに出来ているわけですが、これから1年間登山鉄道に関しては、どのようなことを行っていこうとお考えですか。
知事
まずは技術的な検討は、それはそれとして進めていくとしても、一番重要なことはまず地元とのコミュニケーションだと思います。
しかし、これまではコロナの影響で、例えばシンポジウムとか、そういうことは、なかなかできなかったわけですので、今年はぜひ登山鉄道ありきというよりは、富士山の環境保全或いは観光のあり方がどうあるべきかという大きなところから議論をして、そのうちの一つとして鉄道についてどう位置付けていくかを、多くの皆さんにお考えになっていただきたいと思います。このような活動を積み上げていきたいと思います。
知事
最後に若干の報告事項でありますが、新たな御坂トンネル、一般国道137号線の新規事業採択が行われました。
このたび国から令和4年度の予算内示がありまして、一般国道137号線、新たな新御坂トンネルの掘削事業につきまして、新規補助事業採択の内示を受けました。この新規事業採択は、多くの皆様が長年にわたり待ち望んできたものでありまして、大変喜ばしいことだろうと思います。
ここで、この機会をお借りいたしまして、この極めて大きな朗報につきまして、これまでの取り組み、あるいは事業概要などにつきましてお話をさせていただきたいと思います。
ご案内の通り国道137号線は、本県の二大生活圏であります国中地域と、富士北麓地域を繋ぎますとともに、広域道路ネットワークにおきましても、東富士五湖道路を経由して、新東名にアクセスする大変重要な路線となっております。
しかしながら、ご利用される方はよくご存知だと思いますが、現在、新御坂トンネルは大変老朽化が著しく、トンネル前後の急こう配、あるいは急カーブがありまして、事故が多発するなど、大変危険な状態、危険性のある状態となっております。従いまして新たな御坂トンネルの整備というものは急務であるといえます。
このため、令和2年3月にルート帯を公表以降、沿線住民の皆様との合意形成を図るべく、説明会やパネル展、アンケートなどを実施いたしまして、ルートへのご理解をいただくとともに、新たなトンネルへの高いニーズを確認したところでございます。
技術的には、トンネル掘削時の湧水あるいは脆い地盤である破砕体への対応というものが課題となって参ります。このためトンネル施工の専門家や、国が参加する検討会を開催いたしまして、事業の安全性あるいはルートの妥当性につきましても検討確認をしたところでございます。
こうした取り組みを経まして今般採択された構想におきましては、今のトンネルよりも、約100メートル低い位置に、延長約4.6キロメートルの自転車歩行者道を有するトンネルを整備する事業計画とし、総事業費は372億円を見込んでおります。
令和4年度の予算内示におきましては、トンネル本体の設計及び調査などの費用といたしまして、4千万円の内示を受けたところであります。
この事業は、県といたしましても、過去にない巨大事業となることから、国の支援が不可欠であるため、本年2月3日、私自ら、補助事業としての新規事業化を採択いただけるよう、要望活動を行ったところでございます。
繰り返しになりますが、新たな御坂トンネルの整備、これは他圏域との新しい産業・物流の円滑化などを生み出し、さらには、富士山噴火などの大規模災害時に対する備えとしましても、大変大きな効果を発揮するものであります。
事業化後もこの事業が円滑に進むように、地元や関係自治体の御支援・御協力をいただきながら、1日も早く着工、そして完成供用開始できるように、最大限の努力をして参りたいと思います。
以上3点であります。
記者
新御坂トンネルの事業化が採択されたということですが、知事は先日、要望を聞かれた時に、国の予算の負担割合に関しても、国に6割ほど負担をお願いしていると思うのですが、県と国の予算の負担の割合というか、それについてはどうお思いですか。
知事
それはある程度ルールで決まっている話でもありますし、特に今回の調査費4千万円というのはこれ全部そうなのです。どんな事業も大体最初の調査費というのは、4千万円という形になっているそうなので、これからまたしっかり議論をしていきたいと思います。
記者
お伺いしたいのはリニアについてです。当初の予定だったら、今から5年後には全面開通ですが、ちょっと見通しがわからなくなっている。リニア開業に向けてどのようなことに取り組んでいくのでしょうか。
知事
一つは、まず我々県に与えられたミッションというのは確実にこなしていきたいと思います。それは用地の買収のお手伝いをはじめ、山梨県として果たすべき役割というのがありますので、これは適切に着実に行っていきたいと思います。
それから最大の問題となっておりますのは、静岡県のご理解がなかなかいただけないということでありますが、ここは国の方でも専門家委員会の中で様々知恵を絞って、静岡県の皆さんが水の問題でご心配ないような、知恵を出しているところだと承知をしておりますので、議論というのを見守っていきたいと思います。
またそのプロセスで、山梨県で何かお役に立てるようなことがあれば、それは喜んで、その役割を果たしていければと思います。
いずれにしてもさはさりながら、ある程度時間はかかるわけでありまして、あまり長い時間がかかるような見通しだと、本当にそのままでいいのかという議論もまた出てこようかと思いますが、それはそういうタイミングになった時に備えて、今はいろいろ頭の体操、或いはいろいろな人との意見交換などは進めていきたいと思います。
記者
本日付でジェトロの通商広報で、アメリカからモモの輸入を解禁して欲しいという要請がありました。
昨年スモモが輸入解禁されているが、モモに関してはどのぐらいで輸入解禁されるかというのは分からないですけれども、こういった要請を踏まえた知事の所感と今後の県として対応で何か考えていることがあれば教えてください。
知事
まず、昨年のスモモに関しては、まさに寝耳に水というか、これほど産地を軽視した行政のあり方は考えられません。私も国の行政官の経験がありますけれど、利害関係者に対して、全く無視をしてネットや官報で公示しているからわかっているだろうというのは、こんなひどい行政の仕方はないと思います。
改めてこのスモモの件に対しては、強く、遺憾の意を表したいと思います。
また、それに対する国の施策に対しても、ようやく少しずつ、例えば改植についても動かしていますが、しっかり大胆にやって初めて信頼関係が構築されるわけで、そこでここで最後と言っているようなことはいかがなものかと、私はこの点に関しましても国に対して強い不満を持っております。
そもそも果樹農業について軽視しすぎだと、この場をお借りして抗議をしたいと思います。
そういう意味でモモに関しては、今通知があったからここの点は多少進歩したと思っておりますが、まず、国でどういう影響が産地に及び得るかということをしっかり調査してほしいと。アメリカから言われたからなんでもマーケットを開くというのは、やっていられないわけで、我々が一方的にそういった犠牲になるのかということもあります。
まずどういう影響が及ぶのか、アメリカに行って、どういう産地でいつ何がどれだけ作られていて、誰がどれだけ輸出したいと思っているのか。こういうことをしっかり調べてきてほしいと私は思います。
スモモに関しては今県がやろうと思っていますけども、スモモと合わせてまずしっかりやってほしいということだろうと思います。
そして、そういう状況に対してこの産地をどう維持していくのか、これについては国も当事者意識をもって考えるべきだと思います。
生産される方を不安に落とし込んで平気な顔をしている行政であってはならないということで、国がちゃんと対応していただけることは間違いないだろうとは思いますが、まず、ちゃんと情報をしっかり集めてきて、この産地の中で、その情報をすべて開示して、これが第一歩の出発点だと思います。それをしっかりして欲しいです。
記者
トリガー条項についてですが、政府与党などで検討が進められており、税収の方にも影響あると思うのですけれども、まず、議論が進んでいることについての知事の受け止めと、もし県として試算とか、発動された場合に年間でどのくらい税減収なのかとか、そういった試算が出ているのであれば教えていただきたい。
知事
トリガー条項については、ガソリンをはじめ揮発油の価格水準と合わせて、国においてちゃんと議論をしていただきたいと思いますが、それによって生じる地方税収へのマイナスというものについては、額は後で試算をちょっと聞いていただきたいのですが、私もかつて主計局で地方交付税を担当しておりましたが、そういう国の都合で減税をして、それによって地方財政に大きな穴があくようであれば、当然補填をされてしかるべきであって、これは今までのルールですから、ちゃんとやっていただきたいと思います。
減収への補填の方法は、地方交付税の積み増し或いは交付金なのか、やり方は幾つもあるのですが、国の施策によってやる以上は国が責任を持って補填するというルールがありますので、これをやってくれれば私は別にこのことについて特段何も言うことはなかろうと思っています。
以上