トップ > 組織案内 > 県教育委員会の組織(課室等) > 埋蔵文化財センター_遺跡トピックスNo.0246菖蒲池遺跡
ページID:32714更新日:2017年6月16日
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甲府市の遺跡(甲府城関連・曽根丘陵公園を除く)
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菖蒲池遺跡(しょうぶいけ・いせき)の概要
菖蒲池遺跡第31号土坑とその出土土器この写真は、菖蒲池遺跡の発掘調査で確認された第31号土坑の写真です。 この土坑は、長軸が1.62m、短軸が1.55mの円形に近い形をしていて、深さは28cmほどでありました。ここからは、土器21点のほかに、礫(れき)9点と黒曜石(こくようせき)片1点、石鏃(せきぞく)1点が発見されました。 発見された土器の中には、下の写真のようなものがありました。口縁部分は欠けていますが、丸い胴部より下は、ほぼ完形な状況で出土しています。こうした土器のあり方は、この土坑がどういう意味を持つものか、重要な手がかりを与えてくれています。結論的には、細かい土器の破片がいっぱい入ったこの土坑は、お墓だと考えられています。 では、なぜそういうことが言えるのでしょうか。 リン分析の結果遺跡から発見される土坑はいろいろな種類があります。その多くは、形や出土する遺物のなどからで内容が異なります。菖蒲池遺跡の土坑も、まずは、出土した遺物で、時期や種類を判断しました。しかし、もっと、土坑を調べるため、自然科学分析の中の「リン分析」という方法をとりました。 菖蒲池遺跡では調査された6基の土坑でリン分析を行いました。そして、そのうちの3基から、通常の土に含まれるリン酸の量より、土坑の中のリン酸の量が多いという結果を得ました。このことから、リン酸が多く含まれていた土坑のなかには、人骨があった可能性がでてくるのです。 「リン酸」は、人骨に多く含まれる物質の一つで、土の中に染みこんでいきます。そこで、穴の中の土と、穴の外の土とを比べて数値に差がないか調べることで、人骨がそこにあったかどうかの推定ができるのです。 分析の結果、菖蒲池遺跡の31号土坑では、穴の中心の土と、丸い土器の中の土から、通常のリン濃度より、高い数値が検出されました。これによって、お墓の可能性が高いと判断されたのです。
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