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遺跡トピックスNo.0162
甲府市の遺跡
(甲府城関連・曽根丘陵公園を除く)
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八幡神社遺跡(八幡神社遺跡)発掘調査速報2
山梨大学燃料電池ナノマテリアルセンター実験棟建設に伴って7月1日からおこなっていた八幡神社遺跡の発掘調査は9月30日で終了しました。
発掘調査では溝状遺構2条や土坑・ピット8基などの遺構がみつかっています。遺構のほとんどはいつ頃つくられたのかわからないものが多くありますが、縄文時代の土坑からは縄文土器がまとまって出土したり(写真1)、縄文土器を穴の中に埋め込んだ埋甕(うめがめ)と呼ばれるもの(写真2)も発見されました。
写真1)土坑から出土した縄文土器写真
2)縄文時代の埋甕
遺物は、縄文時代の土器や石器、古墳時代の須恵器〔すえき〕片や平安時代の土師器〔はじき〕などがみつかりました。そのなかでも縄文時代の中頃(今から約4,000年前)のものが特に多く、3,000点近くの土器片や、約10,000点もの黒曜石〔こくようせき〕や水晶、碧玉〔へきぎょく〕からつくられた石鏃〔せきぞく〕(矢じり)や石匙〔いしさじ〕(スクレーパー)などの石器や剥片〔はくへん〕が見つかっています。
写真3)左:水晶の石核、中:黒曜石の石核、右:碧玉製の石匙
前回の速報(遺跡トピックスNo.152)で石器を作成していた可能性があるとお知らせしましたが、石器や剥片以外にも石核〔せきかく〕や石器の失敗品なども見つかっていることから、八幡神社遺跡で石器を作成していたことは確実になりました。
写真4)土偶の顔出土状況
写真5)土偶の顔
写真6)土偶の足
また、土器や石器とともに、丸い口と細い目で表現されたかわいらしい表情をした土偶の顔部分(写真5)と、靴ひものような文様が描かれた足部分の破片(写真6)が出土しました。八幡神社遺跡では、1993年に八幡神社の境内で表採された胴部破片に続き、3例目の発見となりました。
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