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ページID:88753更新日:2019年2月8日

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VFK経営危機(VF甲府の経営危機の現状と今後の見込みについて)

山梨県企画部 平成12年12月26日

1 VF甲府の現状

(1)チームの現状

チームは、平成9年2月1日に、甲府クラブを引き継ぐ形でJFLに参加し、Jリーグ入りを目指してきた。

 

チームの現状は、発足の平成9年度(1997)シーズンがJFL 6位、J2発足直前の最終年である平成10年度(1998)のシーズンはJFL 4位の好成績を収めたものの、その後は、J2発足の年の平成11年度(1999)のシーズンに続き、平成12年度(2000)のシーズンも最下位に沈んでいる。

 

特に平成12年度(2000)のシーズンは、Jリーグの連敗記録を更新する不振ぶりであった。

(2)経営状況

総論

こうしたチーム成績の一方で、JFL時代に十分な財政基盤が整わないまま、チームの強化等に費用をかけたため、J2発足時において、既に多額の負債を抱えるに至っていた。
その後も、J2発足に当たって、ユニフォーム・スポンサーの撤退、県内企業も含めた広告の縮小、観客動員数やクラブサポーターの低迷等により、厳しい財政状況が続いている。

平成9年度(1997)

平成9年度(1997)のチーム発足の年において、263百万円の支出合計に対し、112百万円の収入しかあげられず、151百万円の損失を抱え、1億円の資本金を債務が超える事態となっていた。

 

そうした中で県は、平成9年度において、関係者の強い要請を受け、筆頭株主を山日YBSグループが引き受けることを条件に、80百万円の出資金を平成9年9月補正で計上し、出資を行った。設立時の資本金は1億円であったが、この時点の増資等により、現在の資本金は335百万円となっている。

平成10年度(1998)

そうして迎えた平成10年度も、チームは収入合計が74百万円に減少するなど財政基盤が悪化する一方で、前年度を上回る313百万円の費用を費やし、結果として239百万円の欠損金を出した。

 

収入の減少で大きいものは広告収入で、平成9年度(1997)の67百万円から平成10年度(1998)には、35百万円と激減をしている。

 

その結果累積欠損金は、391百万円に達したが、この時点では、山日YBSグループ内の金融会社からの短期借入金の借入により経営の存続を図った。

平成11年度(1999)

J2スタートの年である平成11年度においては、前年度までの多額の費用と過大な収入見積もりが経営危機の原因との判断から、広告料収入を実績並とするとともにJ2加盟による入場者及びクラブサポーターの増による収入増を期待して、収入支出とも2億円前後の予算を組んだ。

 

特に、支出面では、選手の報酬・出場給は、前年度の2月3日程度に抑えるなどの努力を行うこととした。

 

しかしながら、主力の移籍等によりVF甲府のチーム力が下がる一方で、他チームがJ2入りに伴って、大幅な補強を行っていたこともあり、チームの戦績は低迷を続けた。

チームの低迷、またホームゲームが雨天が続くなどの不運も重なって、試合への入場者数、クラブサポーターともに伸び悩み、経営は厳しい状況を迎えた。

 

そうした中、チームの経営実態の開示により、県民の支援を得るべく、7月には人気チームコンサドーレ札幌との試合を前に、広告を行い、クラブサポーターへの加入と入場を呼びかけたため、これ以降、若干収入が改善した。また、政府の経済対策に伴う特別保証制度の適用を受けることにより、借り入れを行った外、社長個人も会社への貸付を行っており、これにより、平成11年度シーズンは乗り切った。

 

収入の方は、入場料が31百万円と平成10年度(1998)に比べ2.4倍に増加したものの、予算の46百万円には及ばず、またクラブサポーターも17百万円から27百万円に増加したものの予算の37百万円には及ばなかった。

 

また広告料は35百万円から23百万円にさらに減少した。

 

そうした状況ではあったが、Jリーグの配分金があり、また、選手の他チーム移籍に伴う移籍金という臨時収入があったため、収入合計は226百万円に達し、損益はほぼ均衡した。

平成12年度(2000)

こうして迎えた平成12年度は、J1の人気チームであった浦和レッズの降格等を踏まえ、入場料の増、クラブサポーターの増、広告料の増等を一定の範囲内で見込み、232百万円程度の予算を建てた。

 

しかしながら、浦和レッズ戦等では多くの入場者数を記録しながらも、ナビスコカップの入場者は減少し、また、今シーズンもチームの低迷が続いたことなどから、通常の試合の入場者数は伸び悩み、引き続き厳しいシーズンとなった。

 

入場料は、予算の約50百万円に対し前年度を上回りはしたものの35百万円にとどまり、クラブサポーターも前年度を上回る43百万円(+16百万円)となったものの、予算の45百万円を下回った。

 

また、広告料は、期間限定ではあるが新たにユニフォームの背中にスポンサーがついたことなどから、前年度からは増加したものの、26百万円にとどまり、予算の44百万円には遠く及ばない状況である。

 

支出の方は、金利の支払いや山日YBSグループ内の金融会社への借入金の一部返済などで、予定を上回る状況にある。

 

このような収入不足の結果、平成12年度の決算は、60百万円以上の収支不足となる見込みであり、累積欠損金は430百万円近くに達する見込みである。

 

また、このような状況から資金繰りも徐々に悪化しており、遠征費用やスタジアム使用料の支払が滞っているほか、選手に対する給与の支払いも懸念される状況にある。

関係者への会社からの支援要請

このような経営危機に伴って、VF甲府では、山日YBSグループ、県、甲府市、韮崎市等の主要株主、経済界の各種団体等に、資金対策等について、支援要請を行うこととした。

2 経営悪化の原因

(1)総論

J1でも吸収合併したチームがあるようにJリーグの経営は決して簡単ではなく、J1、J2それぞれに経営危機を迎えたチームがあり、中には、その危機の中から市民のサポート等でよみがえって経営基盤が安定しているところもある。 その中でも、一般的に、J2チームの運営は、厳しいところが多いと言われており、経営が厳しいところは、VF甲府に限らないが、今日の経営危機には、VF甲府固有の問題も多く抱えており、これらを分析することが必要である。

(2)VF甲府の経営上の問題点

メインスポンサーの不在

VF甲府は、市民チームとしてスタートしており、メインスポンサーとしての企業がない。
このため、財政基盤が確立しておらず、経営の悪化が、経営危機に直結する体質となっている。また、そのため思い切った経営改善もできない。

広告料収入の低迷

他チームでは収入の主力としている広告料収入が低迷している。特に、メインの収入となるユニフォームの胸と背中、袖のスポンサーがないことが、決定的に厳しい要因となっている。

 

また、新たに広告を追加した企業がある一方で、地元企業で当初の広告を縮小しているところも多く、このことも、広告収入の減少の原因となっている。

当初の経営の見通しの甘さと失敗

当初の経営が、収入を楽観的に見込む一方で、数年後にはJ1入りを目指すという構想のため、選手の補強等に身の丈を超えた費用を支出したことから、当初の出資金に比して多額の欠損金を短期間で抱える事態となり、経営の建て直しの時間が十分にはない状況となった。

県民、市民の盛り上がり

最終的には、これらのいずれもが、チームの不振等により、県民、市民、サッカー関係者のサポートが十分には盛り上がらなかったことに起因するように思われる。

 

チームの不振に関わらず一部の熱心なサポーターが、毎試合のようにスタジアムに足を運び、懸命に応援している状況はあるが、それは必ずしも広がりを見せていない。

 

広告料収入等の企業の支援にしても、その背景には、県民、市民のチームに対する関心があって行われるものであり、いずれにしても、県民、市民、サッカー関係者が盛り上がりに欠けることが、脆弱な財政基盤につながっていると考えられる。

3 今後の経営の可能性

このように、ヴァンフォーレ甲府の経営は極めて厳しく、このままの状況では、チームの存続は困難であり、事態が好転しない限りは、チームの存続を断念せざるを得ない可能性が高いと判断せざるをえない。

 

しかしながら、チーム存続の可能性がないわけではない。

 

そのためには、次のような対策を講じるとともに、合わせて、経済界、県民、市民の支援が得られなくてはならない。

当面、J1昇格という高い目標は棚上げし、J2中位定着を目指した年間2億円強程度での運営を行う。

そもそもの経営のスタートで、県民、市民の賛同を得るために、数年後のJ1昇格を目指した補強等を考えたため、費用が身の丈を超えたものとなり、急速に悪化させた。

 

そもそも、J1チームの経営は、多くの入場者数、大手企業の支援、高い広告料により、相当規模の運営を行っている。

 

その一方で、89万県民を背景に市民チームとして地域密着型のチーム運営を目指すヴァンフォーレ甲府は、せいぜい2億円程度の収入しか見込めず、そもそも現状のまま数年後にはJ1昇格、その後上位定着を目指すことは無理がある。

 

ただ、J2中位定着を目指し、好調なときには、ナビスコカップや天皇杯で活躍し、時にはJ1にも昇格を目指すということであれば、2~5億円程度の規模でも運営は可能と思われるし、事実、J2下位チームにはその程度の規模のところも多い。

 

そうした中で、県内の有望選手を発掘し、J1で通用するような、場合によっては、世界的選手に育てていくことなどに役割を見いだして行くべきである。また、そうした選手を育てることができれば、選手の移籍料でチームの財政基盤も固まり、J1への昇格の可能性も生まれていく。

 

そうしたJ2を基盤としたチームであっても、県民、市民がプロチームを持つことに誇りをもち、またチームに愛着を感じて、チーム存続可能な一定の支援・支持をする見込みが得られるようでなければ、チームとしての存続は困難である。

 

県民、市民の盛り上がりにより、入場料、クラブサポーターの増加を目指す。

チームの運営を、2億円強程度に抑えたとしても、平成12年度(2000)の収支が示すように、年間の収支は、このままでは50百万円以上の収支ギャップがある。

 

この収支ギャップを埋めるためには、入場料、クラブサポーターの増、広告料の増等を図っていく必要がある。この広告料についても、その効果を考えれば、県民、市民の関心が高いことが必要であり、その指標である、入場料、クラブサポーターが確保できることが必要である。

 

現在、シーズンを通した平均入場者数は、浦和レッズ戦等を含めて1850人程度であるが、浦和レッズ戦を除けば1450人に過ぎない。今期J2の平均入場者は6000人程度であるが、人気チームである浦和レッズやコンサドーレ札幌が抜けた後でも、その半分程度の3000人程度には引き上げていく見込みが立つことが必要である。また、クラブサポーターも倍増を目指す必要がある。

 

これにより、収支ギャップの相当部分を埋める必要があり、その見通しが立たない場合には、チームの存続を断念せざるを得ないと思われる。

地元企業の協賛の確保

このような県民、市民の支援の下で、地元企業の協賛についても増強を図る必要がある。少なくとも、チーム発足当初程度の広告料、協賛を確保するとともに、それに加えて、地元企業の共同出資により、連名でユニフォームスポンサーになっていただく可能性など、新たな対策も検討する必要がある。

チームの当面の運営資金の確保

いずれにしても、そうした経営改善で収支ギャップが埋まる見込みが立ったとしても、現時点で資金不足による経営破綻の可能性があり、上記のような見通しを立てた上で、一定の経営資金を確保できなければ、チームの存続はできない。

 

以上


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