トップ > 組織案内 > 山梨県産業技術センター > 山梨県産業技術センタープロポーザル > 山梨県産業技術センタープロポーザルR0307

ページID:100694更新日:2021年8月17日

ここから本文です。

産業技術センタープロポーザル

【山梨県産業技術センタープロポーザル】

産業技術センターをより活用していただくため、センターの研究や設備などをわかりやすく紹介します。

TOPIC:【職員研修】技術支援能力向上のための研鑽を重ねています(派遣研修のご紹介)

産業技術センターの職員は、皆さまからの様々なご相談に対応できるよう、日々研鑚を重ねております。派遣研修もそのひとつです。今回はその内容についてご紹介します

 

■国立試験研究機関および大学等への派遣について

産業技術センターでは、研究機関や大学へ一定期間職員を派遣する研修を実施しています。この研修は、センターが企業に対する技術支援機関としての役割を的確に果たすため、職員の資質向上を目的に実施しています。令和2年度は、国立研究開発法人産業技術総合研究所と国立大学法人山梨大学にそれぞれ1名職員を派遣し、研修を実施しました

 

■X線CTによる金属3Dプリンタ造形物の評価法開発

○研修先  :国立研究開発法人 産業技術総合研究所
○担当者  :機械電子技術部 素材科 望月陽介


令和2年11月から12月、国立研究開発法人 産業技術研究所(産総研)の地域産業活性化人材育成事業*を活用し、研究課題『X線CTによる金属3Dプリンタ造形物の評価法開発』に取り組みました。本研究課題は令和3年度から取り組んでいる研究テーマ『ポーラス金属材料の射出成形金型への適用』に関する事前研究課題として実施しました。

本研究課題では、金属3Dプリンタを利用して異なる条件で造形したポーラス金属材料を、透過力および分解能の高いX線CTを用いて内部観察しました。金属内部を高精細に観察できたことにより、条件ごとのポーラス形態や空隙率、ポーラス内部の残存金属粉の存在などを把握することができました。今後は今回得られた知見とともにポーラス金属の強度など、その他物性を調査し、造形条件と物性との関係を明らかにすることで、ポーラス金属の射出成形金型への適用に向けて研究を進めていきます。

*地域産業活性化人材育成事業・・・公設試験研究機関(公設試)職員を産総研へ招聘して産総研研究員とともに研究活動を行うことを通じて公設試職員の技術力向上を図る産総研の人材育成事業 

 

R0307-01
             X線CTによるポーラス金属材料の内部観察

 

■関連する研究テーマ

テーマ名:ポーラス金属材料の射出成形金型への適用(R3~R4成長戦略研究)
内容:内部に空隙を有することを特徴とする、ポーラス金属の作製方法として、金属3Dプリンタの利用が注目されています。本研究では、金属3Dプリンタを用いて、ポーラス金属を作製して、強度評価・加工方法の検討などを行い、射出成形金型のガス排出機構部品への適用を行います。(機械電子技術部 素材科)

 

■各種分析による機能性材料の物性に関する研究

○研修先  :国立大学法人山梨大学
○担当者  :材料・燃料電池技術部 塩澤佑一朗

 この研修では、当センターで行ってきた二つの研究課題を取り上げ、先端機器等を利用した評価・分析を行いました。

 一つ目は、当センターが開発したバナジウム(V)化合物と染料を組み合わせて天然繊維に光吸収発熱機能を付与する染色技術(特許第6792108号)に関連した内容です。研修では、発熱現象を引き起こす近赤外線を照射する前と照射中のVの化学状態を、山梨大学保有の電子スピン共鳴(ESR)分光装置を用いて測定・比較しました。近赤外線照射によりESRスペクトルのシグナル強度の減少を観測し、光吸収発熱現象に関連する可能性のある知見を得ることができました。今後も共同でさらに精緻な分析を行い、発熱性能の向上や新たな発熱材料の検討に活用していきます。

 二つ目は、表面処理皮膜の摩耗特性評価に関連した内容です。これまでの研究で用いた硬質アルマイト表面に、さらにダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜を成膜して各種評価に用いました。DLC膜を軽量で安価な材料に施すことで、応用の可能性が広がります。試料表面を観察すると、DLC膜が表面形状によく追随していることを確認できました。得られたDLC膜について、2000HVを超える硬度と所定の膜密着性および耐摩耗性を検討しました。

 本研修で得られた経験を、今後の研究業務や県内企業からの技術相談等に活かしていきます。

 

R0307-02
研修で用いた山梨大学保有のESR装置外観写真

 

■関連する研究テーマ

テーマ名:光吸収発熱保温製品の熱移動特性(R1~R2経常研究)
内容:現在、蓄熱保温分野が成長市場です。さらに天然素材製品が近年人気を博し、その開発が進んでいます。そのため、天然素材発熱系機能が希求されています。これらを実用化・設計するため、費用対効果につながる重要因子・熱移動特性について調べました。(繊維技術部 製品開発科)

テーマ名:バナジウム化合物の光吸収発熱機構に関する研究(R1~R2経常研究)
内容:繊維を硫酸バナジルで処理することで光吸収発熱性を付与できることから、この特性を付与した製品の開発が進められています。本研究では、この現象のメカニズムの詳細を明らかにすることで、今後の実用化に役立つ情報を得ることを目的としました。(繊維技術部)

テーマ名:耐摩耗試験に関する研究(R1経常研究)
内容:日本工業規格に基づく表面処理皮膜の往復運動平面摩耗試験では、平滑な皮膜を有する平面試験片を用いる旨が規定されており、非平面形状の試験片には適用することができません。しかし実際の製造現場では、試験の容易さや、製品使用時の摩耗条件に近い方法で試験を行う必要性、また試験機の保有状況などを考慮して、非平面形状試験片においても往復運動平面摩耗試験を採用することがあります。このような場合、各企業が独自に行う試験となるため公開される技術情報が少ないのが現状です。そこで本研究では、往復運動平面摩耗試験における非平面形状試験片の有効性について検討を行い、得られた知見を企業からの技術相談に活用することを目的としました。(材料・燃料電池技術部 化学・燃料電池科)

 

 いずれも、センターで行っている研究に関連した内容です。これらの技術的知見を活用したい方など、ご興味のある方は各担当までお問い合わせください。

・機械電子技術部 素材科
・繊維技術部
  0555-22-2100

・材料・燃料電池技術部 化学・燃料電池科
  055-243-6111

 

このページに関するお問い合わせ先

山梨県産業政策部産業技術センター 
住所:〒400-0055 甲府市大津町2094
電話番号:055(243)6111   ファクス番号:055(243)6110

同じカテゴリから探す

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?

このページを見た人はこんなページも見ています

県の取り組み

pagetop