トップ > 組織案内 > 山梨県産業技術センター > 山梨県産業技術センタープロポーザル > 山梨県産業技術センタープロポーザルH29.11
ページID:83159更新日:2018年9月20日
ここから本文です。
【山梨県産業技術センタープロポーザル】
産業技術センターをより活用していただくため、担当Yが、
外部の方の目線を大切にしながら、その分野の専門知識のない方でも抵抗なく読めるように、
センターの研究や設備などをわかりやすく紹介します。
今回のTOPICは、今年度新たに取得した意匠権『塗り絵用紙』のご紹介です。産業技術センターでは、研究や技術支援の成果として得られた発明や意匠(デザイン)について、特許権や意匠権を取得しています。今回取得した意匠権『塗り絵用紙』も研究から得られた成果の一つです。近年のヒット商品の開発には、品質や性能もさることながら、商品に込められた思いや歴史といった開発の背景が重要なポイントとなってきています。その開発の背景のひとつとなるのが地域の風土や歴史です。今回ご紹介する『塗り絵用紙』は、山梨県の風土や歴史などをデザインソースとしてまとめた『Yamanashi Design Archive』を活用した製品開発から生まれた意匠です。 |
<塗り絵巻>
意匠『塗り絵用紙』 |
||
|
Y.串田さん、今回ご紹介いただく意匠はどのようなものですか? 串田リーダー(以下:串)今回登録された意匠『塗り絵用紙』は、巻物状の形態をした塗り絵用紙です。 実際の活用例がこちらの『塗り絵巻』です。 この製品は、山梨県に伝わる昔話を、物語の情景を表す塗り絵とともに市川和紙の上に記したものです。物語を読んで、塗って、自分の手で仕上げを楽しむことのできる「絵巻物」、いわば「塗り絵巻」としてデザインしました。現在、10話をラインナップしています。 このプロダクトに使用している市川和紙は、戦国時代は武田氏、江戸時代は徳川幕府の御用紙として発展した和紙です。今ではその発色性の良さが評価され、色鮮やかな武者絵などが描かれる「弘前ねぷた」の山車に使用されています。
Y.山梨独自の昔話が、自分の手によって仕上げる塗り絵になっている訳ですね。大人も子供もそれぞれに楽しめそうなプロダクトです。 他に製品としての特徴や利点などはありますか。 串.まず、ディスプレイすることを想定していますので、単体で自立できるように芯棒を太くデザインしています。また、書棚にきれいに収まるように、高さを165mmと文庫本や単行本などと同じくらいにしています。 利点とすると、一般的な巻物と違い表紙を排しているので、製造コストを下げられることと、紙の表裏を利用したり、透かしなどの表現をしたりすることができます。
Y.使用や表現方法が色々できるとなると、アイデア次第で面白い使い方ができそうですね。 実際にはどのような分野の方々に活用されるのでしょうか。 串.『塗り絵用紙』ですので、やはり製紙業界でご利用いただけるものだと思います。他の業界では直接的に利用することは難しいかと思いますが、このプロダクトを活用したワークショップやサービス開発などを行うことで、他の業界でも利用することは可能になると思います。
|
|
『Yamanashi Design Archive』によるプロダクト開発 |
||
Y.この意匠開発はどのような経緯で始まったのですか? 串.この意匠は、平成24年度に実施した研究「地域の歴史等資源を活用したプロダクトの試作開発」の成果として得られたものです。(研究の詳細は、こちらの研究報告紹介ページをご覧ください。) この研究では、地域に眠っているさまざまな地域資源や歴史資源を調査し、商品開発に活用できるようにデザインソース化しました。 今回ご紹介している『塗り絵用紙』は、デザインソースを活用したプロダクト開発のモデルケースとして企画・製作したものです。
Y.デザインソースといえば、以前に紹介していただいた『Yamanashi Design Archive』を思い出したのですが、そちらとも関係しているのですか。 串.そうですね。この研究で調査・編集したデザインソースを整理し、企業の皆様に活用していただけるようWebサイトに仕立てたものが『Yamanashi Design Archive (http://design-archive.pref.yamanashi.jp/)』です。この研究では、『塗り絵巻』の他にも、デザインソースを活用したプロダクトとして『ワインストッパー』や『足駄』、『チョコレート』を試作開発していますので、ご興味があればお問い合わせいただければと思います。
<兎のワインストッパー> 武田信玄公が幼少時代に愛用したと伝えられている「兎の文鎮」の3次元スキャンデータを用い、宝飾品製造技術でワインストッパーに仕立てた。
<足駄> 本県で出土した、鎌倉時代のものと推定される足駄の3次元スキャンデータをベースとして、CADで設計し直し、現代の木工技術と考え方で製作した。
<甲州金チョコレート> 甲州金の金貨、銅貨の3次元スキャンデータを原型として、チョコレートをデザイン。視覚と味覚の両面から史料を楽しめる。
Y.アイデア次第でいろいろな製品開発に利用ができそうですね。 串.はい、実際に既にいくつかの企業様にご利用いただいています。 現在も、新たなデザインソースができ次第、随時追加・更新していますので、皆様にぜひ一度サイトをご覧いただきたいと思います。 『Yamanashi Design Archive』に掲載しているデザインソースは、製品開発における企画やデザインをはじめ、観光や教育など、様々な分野で活用できるものですので、ぜひ皆様にご利用いただければと思います。
Y.串田リーダー、本日はありがとうございました。 串.こちらこそ、ありがとうございました。今回ご紹介した意匠『塗り絵用紙』は、山梨のデザインソースを活用した製品化事例のひとつです。『Yamanashi Design Archive』を利用した製品開発にご興味のある方は、是非、デザイン技術部までご連絡ください。
|
||
まとめ | ||
Y.今回は産業技術センター保有の意匠権をご紹介しました。デザインは、商品の競争力を高めるうえで重要な役割を果たします。商品デザインを行う際には、是非『Yamanashi Design Archive』をご利用ください。 今回ご紹介した意匠の他にも、センターが保有する知的財産権はありますので、多くの皆様にご利用いただければと思います。 |
研究員紹介 串田賢一(デザイン技術部リーダー(主任研究員)) 抱負等「商品開発を進めるうえで生じるコンセプト開発やデザイン開発など、難しいソフト課題を抱えた時、真っ先にセンターに相談してみようと思っていただけるよう、これからも技術や能力の向上に取り組んでいきます。」 |