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ページID:107383更新日:2023年1月23日
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【山梨県産業技術センタープロポーザル】
産業技術センターをより活用していただくため、センターの研究や設備などをわかりやすく紹介します。
当センターでは、研究成果を円滑に企業に普及し、実用化へ繋げていくために、企業からの要望に沿って追試験・試作等を行う「企業ニーズ対応試作開発事業」を実施しています。今回は、当センターで実施した研究「天然素材のバナジウム媒染による機能化(H29~30)」、「バナジウム化合物の光吸収発熱機構に関する研究(R1~2)」の成果等を活用した試作開発を紹介します。
■背景
近年、冬季の寒さ対策として、光を熱に変換する機能性繊維が注目されています。しかし、従来の機能性繊維は樹脂系素材に限定され、すぐに冷めてしまうという課題がありました。そこで当センターでは、保温性の高い天然素材の染色工程に、微量元素であるバナジウムを使用して、高い光吸収発熱保温性が得られる技術を開発し、特許を取得しました(特許第6792108号)。
■支援内容と検討結果
今回支援した企業では、当センターの特許技術を用いたバナジウム染色製品(帽子・手袋・ブランケット等)を販売していますが、今後さらに製品の色展開を増やすことを検討しています。しかしこれまでの染色方法では、光発熱機能を有しながら明るく鮮やかな色に染めることが困難であったため、これを解決する技術支援について要望がありました。
そこで、バナジウム添加量や配合する染料を精査して染色条件を見直すことで、明度の高い新色の光発熱羊毛糸の開発に成功しました。今後は支援企業の量産用染色機における色ブレ等の結果を踏まえて、最終的な新色製品を決定することになります。
試作した染色ウール糸
■担当からひと言
天然繊維に光吸収発熱機能を付与する染色技術は他に類を見ません。また、一般に羊毛は化学合成繊維と比べて高価値で、すぐれた特性(風合い・保温性・難燃性等)を有しています。バナジウム染色技術を用いて、羊毛自体の性能に光発熱機能を追加することで、スポーツ・登山・キャンプなどさまざまな用途における活用が期待できます。
技術的知見を活用したい方など、ご興味のある方は担当までお問い合わせください。
繊維技術部 製品開発科
TEL 0555-22-2100(代表)