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ページID:102770更新日:2022年10月25日
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【山梨県産業技術センタープロポーザル】
産業技術センターをより活用していただくため、センターの研究や設備などをわかりやすく紹介します。
■時代を超えて受け継がれてきた手工芸
山梨県には、時代を超えて、職人によって受け継がれてきた優れた工芸品がたくさんあります。その中でも、50 年以上、伝統的な技術・技法でつくられてきた手工芸が「山梨県郷土伝統工芸品」として認定されています。現在、12の品目が認定されており、このうち甲州水晶貴石細工、甲州印伝、甲州手彫印章の 3 つは、国の「伝統的工芸品」に指定されています。伝統工芸の各産地は、ライフスタイルの変化による需要減少や、担い手となる職人の減少、自然資源である材料の不足など、多くの課題を抱えています。
そのような中でも、各産地の皆さんは、手仕事の技術を受け継ぎつつ、時代に応じた新しい商品の開発や、コラボレーション等にも積極的に取り組み、未来に向けた新しい可能性を模索しています。
甲州印傳・更紗技法
■山梨の郷土伝統工芸品 12 品目を現地調査
本研究では、初年度にウェブアンケート調査により、山梨県郷土伝統工芸品が、山梨県内・県外でどの程度知られているのか等の現状を調査しました。また、2 年をかけて、山梨の郷土伝統工芸品 12 品目の各産地を訪問し、産地の歴史、生産工程と技法、使われている素材や道具、各工芸品の優れた特徴や新しい商品、近年の取り組み等について取材しました。さらに、各産地の職人の皆さんにご協力いただき、長年受け継がれてきた手仕事の各工程を動画でも記録しました。
甲州手彫印章・荒彫の工程
■冊子とデジタルファイルで情報発信!
今回のアンケート調査からは、山梨県外では甲州印伝や貴宝石等をのぞくと、山梨の工芸品はあまり知られていないものの、工芸品産地に興味を持つ人、訪れて体験したい人は一定数あり、情報発信や体験ニーズへの対応を強化することで新たな発展の機会につながることが期待できます。本研究では伝統工芸品の内容をとりまとめた冊子を作成いたしました。以下の URLで PDF ファイルでも公開していますので、山梨の郷土伝統工芸品について知りたい方は、ぜひご覧ください。
https://www.pref.yamanashi.jp/yitc/design/index.html
甲州水晶貴石細工・中摺りの工程
■研究者からひと言
山梨の工芸品には地域の素材を活用する貴重な知恵と技術が詰まっています。現在では、素材からすべて地域の中で調達できるという産業は少なくなってきていますが、県内で収穫した藁を燃やした煙で鹿革を色付けする甲州印伝の燻べ技法や、蚕を育て繭から糸を紡ぐ甲州大石紬の座繰り製糸、富士山のスズ竹を活用するスズ竹細工等、山梨にはこの土地ならではの素材を活用する技術が多く残っています。
製品だけでなく、作られる過程や素材背景を知ることでより価値が理解できると感じました。本研究成果を活用して伝統技術への理解を深めていただき、新しい製品づくりやプロモーションにつなげていただければと思います。
繊維技術部 秋本 梨恵