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ページID:99026更新日:2021年3月29日
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【山梨県産業技術センタープロポーザル】
産業技術センターをより活用していただくため、センターの研究や設備などをわかりやすく紹介します。
■マイクロ流体デバイスの開発
産業技術センターでは、液体に加わる重力や圧力によって流体が駆動(送液)し、流路内の空気を排出するエアベントを設ける構造を持ったマイクロ流体デバイスを開発し、平成28年に特許出願(特願2016-171295)し、令和3年1月に特許第6823824号として登録されました。
■開発の背景
医療分野や化学分野では、分析機器の小型化とともに分析の高速化・環境問題・人体負荷軽減などを考え微量資料による分析への要求が高まっており、流体分析に必要な要素を小型・集積化したマイクロ流体デバイスに関する研究開発が行われています。しかし、マイクロ流体デバイスの開発や実用化において、シリンジポンプや配管チューブ等の外部機器やマイクロポンプなどを使用することが多く、複雑なデバイス構成や大がかりなデバイス構成となってしまう場合が多くみられました。
このようなことから、センターではH26年度~H27年度にかけてマイクロ流体デバイスの簡易な流体駆動手段や流体駆動部の小型化を目指した研究を実施し、得られた成果を特許出願しました。
■発明の概要
本発明は基本的に図のような構成を持ち、主に下記の様な特徴を有しています。
送液に大気圧や重力を利用することで、送液用の外部機器やマイクロポンプ等が不要となり、デバイスの小型化が可能となります。また、従来ではデバイスの終端部まで液体が進行せず、分析等の精度が低下するといた問題がありました。しかし、エアベントを設けたことでデバイス終端部まで液体が進行しやすくなり、精度低下を抑制することが可能になりました。
図マイクロ流体デバイスの模式図
本発明の応用例としては、血漿板凝集機能検査への応用が考えられます。センターでは当該検査への応用について検討しており、コラーゲン(コラーゲンIV型)を底面に塗布することで濡れ性が向上し、スムーズに送液できることがわかっています。また、蛍光染色した全血を送液し、励起光の照射により発生する蛍光を光電子増倍管で計測する装置を検討し、微弱な蛍光の変化を検出・数値化できることを明らかにしています。
■担当からひと言
本技術のエアベントは、毛細管現象による流体駆動などでも効果や応用が期待できると思います。実用化には、共同研究開発をはじめ他者と連携の取り組みや、オープンイノベーションを活用した課題解決などが重要であると予想されるので、もしご興味がある方は当センターまでお声掛けください。
機械電子技術部