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ページID:92661更新日:2019年12月13日
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【山梨県産業技術センタープロポーザル】
産業技術センターをより活用していただくため、センターの研究や設備などをわかりやすく紹介します。
■企業ニーズ対応試作開発事業
センターでは、研究成果を円滑に企業に普及し、実用化へ繋げていくために、企業からの要望に沿って追試験・試作等を行う「企業ニーズ対応試作開発事業」を実施しています。今回、H21~23年度に実施した「肉盛溶接による金型補修に関する研究」の追試験・試作等を行いましたので紹介します。
■肉盛溶接による金型補修について
今日の産業では、プラスチック成形、プレス、ダイカスト等、金型を用いる製造プロセスが広く利用されています。金型は長期間の使用により摩耗や亀裂が発生するため、補修が必要です。また、設計変更により金型を調整することもあります。こうした事態に対し、製造現場では金型表面に肉盛溶接を施すことで対応していますが、溶接作業は作業員の経験に基づいて行われていることが多く、安定した補修技術が求められていました。
■研究終了時の課題
H21~23年度の研究では、高品質で安定した金型補修技術の確立を目的に、高効率なYAGレーザーを用いたレーザー溶接の溶接条件を最適化しました。さらに、溶接後の金型に熱処理を施すことで高品質で安定した金型補修が可能となりました。しかし、これまでの研究では手動で溶接を行っており、自動化は検討していませんでした。
■実用化に向けた実施内容
昨今、海外や国内同業他社とのコスト競争が激化し、高額な金型の長期使用がより一層必要となってきました。このため、自動溶接ロボットによる効率的かつ高品質な金型補修の実現が求められていました。今回、自動溶接ロボットを用いて最適な溶接条件のプログラミングを行い、肉盛溶接の自動化を検討しました。
■検討結果
実際の金型を想定した試験片に対し、手動肉盛溶接と自動肉盛溶接を施し、その表面や端部を比較しました。その結果、手動肉盛溶接(図1)では表面に不均一な凹凸が発生し、端部にはダレ形状が確認されました。一方、自動肉盛溶接(図2)では表面は均一でダレ形状もなく、良好な溶接面が得られました。以上のことから、自動溶接ロボットによる自動肉盛溶接を利用することで従来よりも効率的で高品質な金型補修が実現できると期待されます。
(図1)手動溶接結果 |
(図2)自動溶接結果 |
■担当からひと言
センターでは様々な研究シーズを保有しており、企業ニーズ対応試作開発事業等を利用して実用化に向けた支援が可能です。「センターの研究シーズを利用して、こういうことがやりたい!」という要望がありましたらぜひご相談ください。
工業材料科