トップ > 組織案内 > 山梨県産業技術センター > 山梨県産業技術センタープロポーザル > 山梨県産業技術センタープロポーザルH31.02-2
ページID:88976更新日:2019年3月4日
ここから本文です。
【山梨県産業技術センタープロポーザル】
産業技術センターをより活用していただくため、担当Yが外部の方の目線を
大切にしながら、センターの研究や設備などをわかりやすく紹介します。
今回のTOPICは、甲府技術支援センターの保有設備である「全焦点三次元形状測定装置」のご紹介です。製品、部品の形状測定は、品質評価に欠かせない項目です。形状を測定する装置も多種多様にあり、測定の目的や試料の形状によって使い分けられています。今回ご紹介する「全焦点三次元形状測定装置」は急勾配や複雑形状の試料の測定に用いられる装置ということですが、実際の様子を担当の坂本研究員から伺いたいと思います。 |
全焦点三次元形状測定装置 |
|||
|
Y.坂本さん、よろしくお願いします。さっそくですが、今回紹介していただく装置は何でしょうか?
坂本研究員(以下:坂)はい、こちらの「全焦点三次元形状測定装置」です。平成29年度に公益財団法人JKAの補助事業「競輪の補助金」を活用して整備しました。 整備した機器は、補助事業による新規導入設備のページでご紹介しています。
Y.「全焦点三次元形状測定装置」はどのような装置ですか。
坂.この装置は、非接触で(試料に触れずに)製品や部品などの試料の形状を測定する装置です。測定する試料に対してカメラを上下方向に移動しながらそれぞれの位置で画像を撮影して、撮影された画像の焦点が合った部分を自動で結合して、三次元座標データを作成します。
Y.他の測定装置と比べて、特徴的なところ、違うところはどこでしょうか。
坂.先ほど説明した撮影した複数の画像から自動で三次元座標データを作成できるという点に関連するのですが、この装置はレンズの倍率などにもよりますが、レンズの焦点距離が最大20ミリと、長いというのが特徴です。今までの顕微鏡のタイプの形状測定装置ではレンズを試料に対して1ミリとか、ギリギリまで近づけないといけないため、段差の大きい形状だとぶつかってしまい、測定することができませんでした。この装置では今まで測定ができなかった、数ミリの段差など、形状変化の大きい製品の測定ができ、専用の回転治具にセットすることで工具の全周測定を行うこともできます。
実際に工具(エンドミル)の刃先を測定すると、このようなかんじです。
測定、少し回転させて測定、を繰り返して、それぞれのデータを貼り合わせて3次元データ化されます。
Y.きれいに3次元の図ができていますね。測定には時間がかかるのではないですか?
坂.使うレンズの倍率や、工具の径によって変わってきますが、この工具は、径が10ミリ、5倍のレンズを使って、1周測定するのにだいたい30分です。また、例えば10円玉くらいの大きさの平面的な試料を測定する場合、この装置が整備される前は接触式形状測定装置を使う必要があり、だいたい2時間くらいかかってしまったのですが、この装置では約7分で測定できます。
Y.2時間が7分ですか!それはかなり違いますね。
坂.測定のスピードが格段に速いです。 Y.この装置は実際にはどのような時に使われるんですか?
坂.金型や機械部品、ゴム、プラスチック製品などの測定に用いられます。例えば、ネジなどの部品や工具を作る企業様では、本当に図面通りに部品や製品ができているか、確認するために使われています。また、実際に使った工具がどのように摩耗(変形)しているか、などに使われています。
他にも、ゴム製品の反りなどの測定にも使われています。ゴム製品は素材が軟らかいため、接触式での測定ができない。さらに変形量も大きいのでこれまでの非接触の測定装置では対応できなかったんです。
Y.なるほど。様々な形状や素材の測定ができるようになったんですね。ちなみに、苦手な試料などはありますか?
坂.透明なものや光沢度の高いものは測定できませんが、スプレーなど吹き付けても問題がない試料(サンプル)であれば、そのような前処理をすることで測定することはできます。
Y.坂本さん、ありがとうございました。
坂.この装置のほかにも様々な機械が揃っていますので、相談していただければと思います。皆様のご利用をお待ちしています。 |
研究員紹介 坂本智明(機械技術部研究員) 抱負等 |