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ページID:83285更新日:2025年2月17日
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【山梨県産業技術センタープロポーザル】
産業技術センターをより活用していただくため、担当Yが、
外部の方の目線を大切にしながら、その分野の専門知識のない方でも抵抗なく読めるように、
センターの研究や設備などをわかりやすく紹介します。
今回のTOPICは、センターで実施している研究のご紹介です。この研究は、バイオマス由来の化成品として昨今注目を集めているセルロースナノファイバー(CNF)とリグニンプラスチック(LP)に関する研究です。それぞれの材料の特徴についての説明も含めて、研究担当者の佐藤さんにお話を伺いたいと思います。 |
セルロースナノファイバーとリグニンプラスチック |
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Y.佐藤さん、今回ご紹介いただく研究はどのような研究ですか? 佐藤研究員(以下:佐).この研究では、ワインの搾り粕など、県内のバイオマス資源を利用して、セルロースナノファイバー(CNF)とリグニンプラスチック(LP)を合成する方法と合成した材料の評価、その利用について研究しています。
Y.CNF、LPって何でしょうか? 佐.まず、植物の大部分は、セルロース、ヘミセルロース、リグニンという3つの物質でできています。そのうち、CNFはセルロースをナノレベルまで細かくほぐした材料で、LPはリグニンから合成したプラスチックです。
Y.CNFやLPはどのようなものに使われるんですか? 佐.どちらの材料も、いまちょうど実用化に向けて研究開発が進められているところです。 期待される用途としては、CNFは化粧品の増粘剤や繊維強化プラスチック(FRP)の強化材などが考えられています。 LPはフィルムや繊維強化プラスチックの原料への応用が可能であると考えられています。
Y.FRPって何ですか? 佐.FRPは、プラスチックにガラス繊維や炭素繊維を混ぜて強度を増したプラスチック材料です。特に炭素繊維を混ぜた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は軽量で強度があるため、自動車や航空機なんかにも使われています。CNFも軽量で強度があるので、高性能なFRPが開発できると期待されています。 Y.県内で廃材となっている搾りかすなどから、機能性のある材料を開発する、ということですね。 佐.そうです。搾りかす以外でも、山梨県は森林が多く、バイオマス資源が豊富ですからね。それらの使用用途が増えれば、例えば林業の再生などにも繋がるのではないかと考えています。
Y.研究に至るにはどのような背景があったのでしょうか? 佐.バイオマス由来の材料開発は、国でも促進している技術分野です。県内の企業様からのご相談もあったことから、センターとしても研究を進めています。世界的にも実用化に向けた研究開発が進められており、今後、これらの材料の需要が増えていくことが想定されます。その際に山梨県でもその波に乗り遅れないよう、知見を蓄積し、企業の皆さま方に展開していきたいと思います。 |
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セルロースナノファイバー技術セミナー |
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Y.まだ研究途中だと思いますが、現在の県内企業の皆様の反応はいかがでしょうか。 佐.まだ、情報提供レベルの支援ですが、もともと相談をいただいていた企業様をはじめ、いくつかの企業様において、興味をもっていただいています。 平成30年1月23日には、当センターと関東経済産業局の共催で、セルロースナノファイバーの技術セミナーを開催しますので、多くの方にご参加いただければと思います。
≪当日は多くの方にご参加いただきました≫
Y.佐藤さん、ありがとうございました。 佐.まだ、進行中の研究ですので、情報に限りはありますが、ご興味のある企業様がいましたら、ご相談いただきたいと思います。 |
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まとめ | ||
バイオマス由来の材料は、実用化に向けて様々な研究がなされている技術です。世界的にも注目されている技術の動向について、注視していく必要があると思われます。ご興味のある方はセミナーにもご参加ください。 本研究の詳細は、こちらの研究報告ページをご覧ください。 今回ご紹介した研究以外にも様々な分野の研究を実施していますので、ご興味のある研究がありましたら、ご相談ください。 |
研究員紹介 佐藤貴裕(化学・燃料電池科(研究員)) 抱負等「CNFやLPはまだ実用化例の少ないバイオマス由来の化学製品ですので、しっかりと知見を蓄積して皆様に還元していきたいと思います。また、化学・燃料電池科では各種定性・定量試験の設備使用・依頼試験を行っておりますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。」 |