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ページID:83283更新日:2018年9月20日
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【山梨県産業技術センタープロポーザル】
産業技術センターをより活用していただくため、担当Yが、
外部の方の目線を大切にしながら、その分野の専門知識のない方でも抵抗なく読めるように、
センターの研究や設備などをわかりやすく紹介します。
みなさんは、DIY(日曜大工)をやられたことはありますか?今回ご紹介する研究は、DIYでも使われる工具をひとつの例として、使う人の身体や動作に合った製品形状の設計方法について検討した研究です。ものづくりの現場の職人さんの高度な加工技術を支える工具をより使いやすくすることで、精度の向上や作業の負担軽減、人材の参入にも繋がるものと思います。それでは、研究担当者の鈴木さんにお話を伺いたいと思います。 |
もっと使いやすく!身体にあった製品設計 |
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Y.鈴木さん、今回ご紹介いただく研究はどのようなものですか? 鈴木主任研究員(以下:鈴).身体シミュレーション技術を利用して、作業者の身体や作業動作に合った製品形状の設計手法について検討することで、人に合わせたプロダクトの開発に活用できないか取り組みました。 こちらが今回の研究で設計提案したヤスリのグリップの試作品です。 <試作したグリップ形状> (上が一般的な形状、下2つが設計提案した形状)
Y.一般的なヤスリとは持ち手の部分が違いますね。 鈴.この持ち手の形は握った時の手の形に合うような形になっていて、へこみに指が収まるようになっています。実際にこの試作品を作業者に握ってもらったところ、一般的なものと比べてフィット感や安定感が向上するという評価をもらいました。
Y.では、実際にこの試作品がどのように作られたか、教えてください。 鈴.今回のシミュレーションに使用したのが、この「DhaibaWorks」です。これは、産総研(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)で開発を進めているソフトウェアで、人の形状や動作のシミュレーションと評価ができます。このような感じで、コンピューター上で設計した製品を握らせることができます。
ーパソコンの画面上で人の手がヤスリを握っていますー
そして、設計した製品はセンターの樹脂3Dプリンタで造形し、握り心地などがシミュレーションどおりか確認しました。
Y.身体に合った器具を使えば、使う側はかなり使いやすくなり、助かりますね。それでは、作る側のメーカー側のメリットは何でしょうか? 鈴.人に合った製品を開発することによる製品の高付加価値化ですね。また、今回の手法では開発段階での「一度形を作って、使用感を確認する」という工程をコンピューター内でできるため、その分のコストや時間の削減につながると思います。
Y.なるほど、興味深い研究ですが、この研究の今後の展開はいかがでしょうか? 鈴.研究を進めていく中で、対象者を高齢者や障害者の方などが使用する器具のデザインに活用することが考えられましたので、現在はそのような方向で検討しています。 Y.ヘルスケアなど、今後、成長が見込まれる分野への展開ですね。そちらの研究の成果も楽しみです。 鈴.皆さんに活用できる成果を出せるよう、頑張ります。
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機器利用と人材育成 |
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Y.最後に、今回研究に使われた機器やソフトは、県内企業でも使えるのですか? 鈴.シミュレーションソフトは、産総研からライセンスをお借りしているので、企業様の使用は相談になります。試作に使用した樹脂3Dプリンタは、センターの開放機器になっているので設備利用でご利用できます。3次元CADに関しては、企業様からの要望に応じて講習会や研修を実施しています。
Y.鈴木さん、本日はありがとうございました。 鈴.今回の研究に関することや、CADの研修、樹脂3Dプリンタの利用など、お気軽にご相談ください。
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まとめ | ||
使う人の身体にあった製品づくり、これは高度な技術を持った職人さんの多い日本ならではの発想かもしれません。今後需要の増加が見込まれるヘルスケア産業への展開もスタートしています。企業の皆さまの製品開発のひとつの足掛かりとしてご活用ください。 本研究の詳細は、こちらの研究報告ページをご覧ください。
今回ご紹介した研究以外にも様々な分野の研究を実施していますので、ご興味のある研究がありましたら、ご相談ください。 |
研究員紹介 鈴木文晃(デザイン技術部 主任研究員) 抱負等「デザイン技術部では、研究を通した技術開発のほか、設備使用・講習会・情報提供などを実施し、企業の皆様の製品開発の支援を致します。」 |